ドキュメンタリー

歩いて見た世界 ブルース・チャトウィンの足跡

<岩波ホール><公式> 2022年7月に閉館した神保町のミニシアター、岩波ホールで最後に上映したのが本作だ。ビルの最上階にある、仕立てのいい古いスーツみたいな映画館だった。当ブログだと『ニューヨーク公共図書館』や『真珠のボタン』などのドキュメンタリ…

ザ・メニュー & 二郎は鮨の夢を見る

■ザ・メニュー <公式> ストーリー:マーゴ(アニャ・テイラー=ジョイ)はボーイフレンド(ニコラス・ホルト)に招待されて、予約困難なレストラン〈ホーソン〉に来た。1日の客数は12人、1食1000ドル以上のレストランは船でしか行かれない孤島にある。今夜の…

スパークス・ブラザース

youtu.be <公式> アメリカ、カリフォルニア発のバンド、スパークスの1960年代末の生誕からこれまでを描いたドキュメンタリー。一つ前の記事で書いた『アネット』の原案がスパークスで、彼らの演奏シーンから映画は始まる。下の動画の前半部分だ。本作は日本…

サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)

youtu.be <公式> 1969年、マンハッタン、ハーレム。公園の特設ステージで6日間開催された屋外ライブフェスティバルの映像記録だ。トニー・ローレンスという人物がプロデュース、NY市長の協力をえて実現した無料のサマーフェス。そんなに広いわけじゃない街中…

行き止まりの世界に生まれて & ミッドナインティーズ

■行き止まりの世界に生まれて <公式> ストーリー:シカゴで撮影技師をしているビン・リューは、故郷のロックフォードで昔からのスケートボード仲間、ザックとキアーを主人公にドキュメンタリーを撮り始めた。撮影は12年間におよび、3人の環境も変わっていく…

アメリカン・ユートピア

youtu.be <公式> デヴィッド・バーンが率いるバンドのステージの映像化。2019年のNYでのライブだ。監督はスパイク・リー。ぼくにとっては昔からお世話になった2人のコラボだし、デヴィッド・バーン=ライブ映像といえばほぼ全員引き合いに出すライブ映画の名…

アメリカン・ファクトリー

2019年公開、2020年のアカデミー賞でベストドキュメンタリーを受賞した。配給はオバマ夫妻が設立したHigher Ground Production。だからオバマが毎年発表する「今年のおすすめ映画リスト」にも『パラサイト』や『ブックスマート』と並んできっちり入っている…

2020書き漏らしいろいろ

■ダイナマイトどんどん ストーリー:昭和25年、北九州小倉。対立するヤクザ組織の抗争に頭を痛めた警察は、それぞれの幹部を呼び、野球の試合で決着をつけるように命令する。勝てば盛り場のシマをものにできるのだ。加助(菅原文太)はチームリーダーになり…

メイキング・オブ・モータウン

<公式> モータウン・レコーズ。1959年設立のデトロイト発祥のレコード会社。最盛期、1960年代にリアルタイムではまった人は、今は70歳以上だ。そのころ日本でブラックミュージックを聴き込んでいたのは、米軍基地の近くに住んで、FEN(今のAFN。米軍向けの放…

アルマジロ

<公式> 2010年、デンマークの作品。アフガニスタン国内、NATO軍ISAF(国際治安支援部隊)の、アルマジロと呼ばれる基地に派遣されたデンマーク兵士たちに密着して撮影した、戦場のドキュメンタリーだ。兵士たちの派遣期間は数ヶ月程度。映画では何人かを主人公…

彼らは生きていた They shall not grow old

<公式> 第一次大戦のイギリス軍の戦場の映像と、帰還兵のインタビューを重ねたドキュメンタリー。「100年前の戦場に、そこにいたかのような映像体験をしてもらう」意図でつくられた、つまり『1917』とおなじねらいの映画だ。この2つ、共通点が多いのだ。どち…

ジョアン・ジルベルトを探して

<公式> ジョアン・ジルベルト。1950年代にかれが編み出したギターの奏法は、アントニオ・カルロス・ジョビン、ヴィニシウス・ヂ・モライスたちと共にボサノバを生み出した。映画『This is bossa nova』はその周辺をインタビューや映像でわかりやすく紹介して…

ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス

<公式> ニューヨーク公立図書館(NYPL)。市内に本館・分館あわせて92館をもつ、政府や自治体に属さない独立の組織だ。本作はこの組織がどんなところか、それを描いたドキュメンタリーだ。 NYPLは年間予算は約340億円、本館と4つの研究図書館、それにマンハッ…

マックイーン モードの反逆児

<公式> アレキサンダー・マックイーン(リンクはGQの紹介ページ)。彼の名を冠したブランドは、創業時からのパートナー、サラ・バートンがクリエイティブ・ディレクターをつとめる。本作はマックイーンの青年期から死までを残された映像とあたらしく撮ったイ…

ホイットニー〜オールウェイズ・ラブ・ユー〜

<公式> ホイットニー・ヒューストン。彼女の最盛期は1980年代後半から1990年代初頭、だから渋谷の映画館で見たときは50くらいのお客さんが多かった。らしいなと思ったのはちょっとエッジーなお母さんが20歳くらいの娘さんを連れて見に来てるのが何組かいたこ…

動いている庭

公式> これはだいぶ説明が必要な1作だ。ドキュメンタリー作品。たぶんそうそう見られない。DVDにもなっていなさそうだし、商業映画館で掛けるようなものでもないし、「知られていないけどじつは面白い!」みたいな小さな小屋主が上映してみたくなる佳品とい…

オラファー・エリアソン 視覚と知覚

公式> デンマーク生まれの現代アート作家、エリアソン。2008年、かれのプロジェクトがマンハッタンで実現する。WATERFALLSという、イーストリバー沿い4カ所に人工の滝を作る、市をまき込んだビッグプロジェクトだ。クリストを思わせる、都市の風景にそれなり…

人類遺産

公式> 廃墟。この映画は廃墟だけをほぼ静止画のように観賞する映像体験だ。動きは…..ある。たとえば水がたまっている朽ちた建物。表面の波が壁にうつるきらめきはゆらゆら形を変える。だけどほぼカメラは動かない。いわゆる環境映像ともどこか感触がちがう。…

SUPER8(SFじゃないほう)

予告編> サラエヴォ出身の映画監督エミール・クストリッツァ。それほど多作というわけじゃない、ぼくが見てるのは代表作の『アンダーグラウンド』『黒猫・白猫』くらいだ。いうまでもなく『アンダーグラウンド』は強烈だった。2作を見て感じたのは「声の太い…

真珠のボタン

公式> ストーリー:チリ南部、パタゴニア地方の海岸地方をめぐるドキュメンタリー。スペイン人侵略の前には長時間舟の上で過ごす先住民たちがいた。彼らのひとりが1800年代、まだ若いときにイギリスに連れていかれ「文明化」された通称ジェレミー・ボタン。…

BISキャノンボール

公式> ストーリー:アイドルグループBIS解散ライブの前日、ハメ撮りAV監督たちが集まった。前日・当日・翌日の彼女たちを追うのだ。それぞれにカメラを持って、メンバーたちと1対1で一晩過ごす。もちろん彼女たちには寝耳に水だ。翌日会場にあらわれたメンバ…

皆殺しのバラッド 〜メキシコ麻薬戦争の光と闇

公式> メキシコーアメリカ国境に接する町、シウダーファレス。リチはこの街で勤務する警察官だ。国境の反対側エル・パソは全米でも有数の治安がいい街なのに、この街では平均、毎日10人単位が殺される。血だらけの現場に出動し、検挙のあてもない殺人の被害…

アクト・オブ・キリング

公式> これはほんとに特殊映画だ。ジャンルとしてはドキュメンタリーに属する本作の、画面の中のできごとは、なにがリアルでなにがつくりもので、的な混乱をみるものにぶつけるだろう。映画の前提は公式に書いてある。ぼくも知らなかった世界だ。1965年、イ…

バックコーラスの歌姫たち ー 20 Feet From Stardom ー

公式> 音楽モノドキュメンタリー。90年代くらいまでのポピュラーミュージックをささえたバックボーカリストの物語だ。アメリカではレコーディングでもライブでも不可欠だったし、イギリス系ミュージシャンの曲にもソウルフルな女性ボーカルの声が入っていた…

ホドロフスキーのデューン

公式1>公式2>公式がなぜか2つある!映画作家ホドロフスキー。『エル・トポ』『ホーリー・マウンテン』で欧米で注目のクリエイターになった彼に、フランスのプロデューサーが新作をオファーする。1975年、ホドロフスキーが選んだのは名作SF、『デューン』だ…

監督失格

公式> ストーリー:AV女優、林由美香の主演作でデビューした平野勝之監督は,1996年の夏に2人で自転車に乗って北海道を目指すたびに出る。旅の記録は映画になって残り、2人の距離が離れてからも、なんとなくな友人関係はつづく。2005年、久しぶりに彼女を主…

ロスト・イン・ラ・マンチャ

予告編> こちらは撮影延期や中止話がやたらと多いテリー・ギリアム師のドキュメンタリー。僕は彼の『ラスベガスをぶっとばせ』とか『ローズ・イン・タイドランド』とか大好きだ。逸脱していくものへのかぎりない愛情と共感に満ちている。でもものによっては…

アメリカン・ティーン

予告編> ある高校の生徒たちの1年。舞台になる人口13000人の小さな町ワルシャワは、シカゴから200km。どこが町の盛り場だかわからないようなところだけど、中心部に湖がいくつもあって、水辺の別荘地みたいなのもある。なかなかいいロケーションだ。ちなみに…

ようこそアムステルダム国立美術館へ

予告編>映画館の紹介P> アムステルダム国立美術館の改修計画をおうドキュメンタリー。国際コンペで勝ったスペインの建築家チームによる設計がかたまって、いよいよ解体工事がはじまってから映画ははじまる。ところがここからが長い。とにかくいろんなトラブ…

180°SOUTH 

公式> まえに『イントゥ・ザ・ワイルド』でちらっと書いていた、二人のアメリカ人の、パタゴニアへの旅の記録・・・のつもりで見たのがこの映画。その二人というのはNORTH FACEの創業者、ダグ・トンプキンスと Patagoniaの創業者、イヴォン・シュイナード。4…