SUPER8(SFじゃないほう)


<予告編>
サラエヴォ出身の映画監督エミール・クストリッツァ。それほど多作というわけじゃない、ぼくが見てるのは代表作の『アンダーグラウンド』『黒猫・白猫』くらいだ。いうまでもなく『アンダーグラウンド』は強烈だった。2作を見て感じたのは「声の太い作り手だ…..」っていうこと。もちろん監督自身の肉声じゃない。メインキャストにいるわけじゃないからね。ドラマといい笑いといい語り口といい、ざっくりと力づくで話を持っていく、そんな感じが強烈にするのだ。そして監督自身がいるバンド、ノー・スモーキング・オーケストラのドキュメンタリーである本作をみたら、やっぱり監督は声が太いタイプの人だった。というかバンドのボーカルも、監督の息子である図体のでかい悪ガキ風ドラマーも、だいたいにおいて野太い男たちなのだ。

黒猫・白猫』を見た人なら全編で演奏していたロマ系のブラスバンドの音がしみついてるだろう。一時日本でもはやったよね。ぼくも買った。東欧のブラスバンドBPMがやたらと早くて、泥臭いスカ風のあじがある(この映画この映画でも紹介されている)。ノー・スモーキング・オーケストラはそんなサウンドも、ロマ風のヴァイオリンもいるえれど、ぎこぎこなるギターもいる。男臭いバンドは世の中にいくつもあるが、このバンドも男臭さ東欧代表という感じで一歩も引かないのだ。
映画はバンドメンバーたちがモノローグで時分語りをしたり、日々のようすがちらっと映されたり、ツアーバスの中で悪態をついたりかるくもめたり、PVを撮ったりする。むかし音楽教育を受けていたらしい人や別の仕事を持ってる職人や伝統音楽系のギター弾きやいろいろいる。そしてパリだかどこかのホールでライブをする。こんな感じだ