2011-01-01から1年間の記事一覧

パリ20区、僕たちのクラス

公式> ぼくたちは、教師が生徒に生身でぶつかっていって、生徒たちの個人的な悩みや葛藤に真摯に向き合ったり、やむにやまれぬトラブルに頭を抱えたり、おもわず人間的な弱さをあらわにしてしまったり・・・という、それもわりあいに良質なドラマを子供の頃…

23年の沈黙

<参考 imdb> すっかり更新をさぼっていてごめんなさい! 今回見たのは前回に続いて現代のドイツ映画。今年は自分にしてはドイツ映画を見ているかもしれない。『ザ・ファイト』『ソウル・キッチン』 出資という意味ではなにげに『イングロリアス・バスターズ…

ザ・ファイト ー拳に込めたプライドー 

imdb> 最初に言います。これ『ザ・ファイター』と間違えて借りました。。。ほんとはクリスチャン・ベールの変身っぷりが見たかったのだ。DVDが高速回転を始めてもまだ気がつかなくて、ドイツ兵たちが弾幕のなかで銃を撃ちまくるあたりでおかしいなと思いはじ…

ソラニン

公式> いつの時代でも、その時の若もののためにつくられた青春と恋愛の映画というのがある。つくられた時代に関係なく共感される普遍的な物語ももちろんあるけれど、「ぼくらの時代の」という価値はやっぱりあるだろう。そんな、今、自分たちの時代の青春の…

東京暮色

1957年の作品。1953年に『東京物語』を完成させ、すでにゆるぎない巨匠になっていた小津安二郎の白黒最後の作品だ。翌年にカラーの『彼岸花』を撮っている。この『東京暮色』、特に戦後の小津にしては異色の作品とみなされているようだ。評価が分かれる作品…

ナチュラルボーンキラーズ  オリバー・ストーン

IMDB> そうだ、これも見返していたんだった。ストレートに撮影した映像とTV風やら取材映像風やら荒れた映像やらがめまぐるしく切り替わる語り口は、94年当時は「今風」そのものだっただろう。過去の血なまぐさい因縁を初期ソープオペラ風に(視聴者の笑い声…

剣岳 点の記 木村大作

公式> これはビッグスクリーンで見るべきだったんだろうね。というのもやはり主役は壮大な風景で、ドラマの部分はあまりにもコクに欠けるからだ。朴訥でありながら信念の人である主人公(浅野忠信)チームと、イヤミなライバルのようでいて最後には讃えあう…

レスラー ダーレン・アロノフスキ― 

公式(英語)> けっきょくのところ、ごまかしなしでそのまま撮れるミッキー・ロークの体の説得力につきるんじゃないだろうか。なんども出てくる、背中越しにランディ(ローク)が歩いていくさきを見せるシーンも、この肩と背中があるから絵になる。 よく言われ…

マイレージ・マイライフ

公式> まずイントロの映像コラージュが最高に格好いい。本編もでだしからたたみかけるような速いカット割りで、パッキングから空港のチェックインまで、究極に旅慣れた主人公ライアンのスムーズな動きを見せる。特殊な撮り方じゃないが新鮮でいいリズムだ。 …

M*A*S*H

予告編>ある種のクラシックなんだろう。70年公開、低予算ながらカンヌのパルムドールを取り、アメリカ軍を笑いのネタにするという当時はなかなかできなかった表現を思い切りやってみせて大ヒットし、米軍基地では上映禁止にしたけれど兵士がみんな町に出て見…

麦の穂をゆらす風

予告編> イギリスの社会派の巨匠ケン・ローチが撮ったアイルランド独立戦争当時の物語だ。イギリス・アイルランド制作。自分用もふくめてざっとこの時代をおさらいすると、グレートブリテン王国に併合されていたアイルランドは1919年にアイルランド共和国の…

カポーティ

公式> 作家トルーマン・カポーティが1959年に起きた農夫一家殺人事件の犯人にインタビューしながら代表作「冷血」を完成させるまでの数年を描いた映画。静かな映画だ。 まず監督ベネット・ミラーが劇場用映画は初監督だということにおどろくだろう。ついでに…

ミックマック

公式> 監督ジャン=ピエール・ジュネは誰にでも分かりやすい作風の持ち主だ。長編デビューの『デリカテッセン』のときから、それはファンタジー表現のスタイルのひとつを確立したといってもいいくらい新鮮だったし、際立っていた。各国のフォロワーたちの作…

ソーシャルネットワーク  デビッド・フィンチャー

公式>2003年が舞台で、しかも今に完全につながっている実在のネットビジネス。それをいきなりクラシックなトーンで撮っているところがいい。 最初のバーのシーン。マーク(ジェシー・アイゼンバーグ)はフード付きのパーカーを着て、エリカ(ルーニー・マー…

ハート・ロッカー  キャスリン・ビグロー

公式>主人公が場面ごとにバージョンアップしていく物語。同僚たちが彼の見えなかった面をじょじょに理解していくプロセスが描かれ、それを観客も共有する。まずプロの面だけ見せて 1.0.0:戦場をゲームか自分のスキルを発揮する場としてしか見ていない(=心…

ソウル・キッチン

公式> 突然だけどこの記事、ヒマだったら読んでみてくださいな。 錦糸町のリトル・バンコクを紹介している、僕のすきなコラムだ。自分で店を経営しているタイ人のおかみさんたちが、店をバックに誇らしげに映っている。(追記。リンク先は消えてしまいました…

告白 

公式> 第一印象でいうと、表現のクオリティと脚本のそれのバランスがなんだか悪いなあというものだった。 表現のクオリティについては色んな批判があって「これは映画じゃない」式の批判も見かける。目まぐるしく変わる表現の意図も、演出上の意味もわからな…

エッセンシャル・キリング

公式> 当ブログではめずらしいロードショー中のレビュー。どう書けばいいのかな。 この映画、公式サイトだと「サバイバル」や「ノンストップアクション」というエキサイティングな言葉が出てくる。アフガンのゲリラ兵がアメリカ兵を殺し追われる身になる。確…

ノルウェイの森

公式> 原作はハードカバーの時によんだクチだ。もちろんそのタイトルに、延々と続く、さむざむしい針葉樹林の光景をかぶせていた。つまり、タイトルになっているビートルズの曲名、Norwegian Wood=ノルウェイの森 が誤訳だなんて知らなかったのだ。それほど…

アニー・ホール

参考(IMDB)> もう古典かな。1977年公開。アカデミー作品賞を受賞して、アレンの「授賞式に出ないでクラリネット演奏」伝説をつくった一本だ。で、この作品、あらためて見ると撮り方もテンポもじつに古くない。トリッキーで、画面合成も使ったりしていて、そ…

ジャッキーブラウン

かなり久しぶりに見た。エルモア・レナード原作ものだと『ゲット・ショーティー』があるが、プロットはたぶんあっちのほうがしっかりしているけれど、やはりこっちのほうが好きだ。初めて見た時はパム・グリアー(ジャッキーブラウン)が口を片方に曲げて笑…

イングロリアスバスタ−ズ

普通に面白かったがなんかコメントが出てこない。本作も『僕らのミライに逆回転』とおなじく「映画についての映画」で、映画内映画が出てくるが、単純な映画愛の物語ではもちろんない。というかそれ以上に「言葉の映画」。『Kill Bill』のルーシー・リューの…

シングルマン

公式> この映画、第一印象でいうと『ガタカ』にすこし似ているかもしれない。画面から徹底してノイズを取り除いてエレガントなものだけで統一するところや、必要以上にエモーショナルにならない抑制の効いた演出や、「水」や海のシンボリックな使いかたや、…

フローズン・リバー

公式> 格差社会・・・見るたびにどんよりする言葉だね。この映画はそんな格差社会の下側に吹きだまったひとびとの物語だ。主人公レイ(メリッサ・レオ)は、一家でニューヨーク州北端のトレーラーハウスにすんでいる。アメリカ貧困層住宅の典型だ。昔は美人…

僕らのミライへ逆回転

公式ないので参考(imdb)!>> レンタルビデオ店の店員が、テープから消えてしまったハリウッド名作を仲間だけでリメイクするというこの話、かなり濃いめの映画愛の映画だ。泣ける映画愛映画の古典といえば『ニューシネマパラダイス』につきるが、この映画、と…

イントゥ・ザ・ワイルド

公式> パタゴニアとザ・ノースフェイスの創業者二人が若いときにパタゴニア高原へ向かった「伝説の旅」の映画をすこし前公開していた(見てないけど:追記。見ました)。今はどちらもショッピングモールの定番、アジアや中米各国でつくられたグローバルアパ…

ハングオーバー

公式> ある地方都市の健康ランドで見た。肉体的・精神的に消耗する旅だったから、健康ランドのまったりした世界に心底癒された。 離れの温泉宿もすてきだろうけど、こういう場所だと同じように癒される見知らぬ他人がいるのがいい。だれもがあのアホな原色ト…

100,000年後の安全

公式> FUKUSHIMA以前には、よく「核に対する日本人の特別な感情」という言い方が、特にアメリカの専門家からされてきた。でもぜんぜんそんなことはなかった。マス・ヒステリーは被爆体験と関係なく世界中にひろがった。科学者がいくら説明しても恐怖はぬぐい…

湖のほとりで

<公式> アンドレア・モライヨーリの初監督作品でありつつ、 イタリアでは史上最高クラスの評価を受けてるらしい(受賞歴も観客動員数も)。原作はノルウェーの国民的作家(らしい)カリン・フォッスムのベストセラー(らしい)ミステリー。ストーリーは・…

抱擁のかけら

<公式>アルモドバル+ペネロペ・クルスの第2弾。『ボルベール<帰郷>』に続いて完全にペネロペ映画となっている。あまりにもペネロペ映画であって、ほとんどペネロペのコスプレ映画といってもいい。ボディコンスーツを着こなす秘書ペネロペ、ナイトウェ…