2010-01-01から1年間の記事一覧

500日のサマー

公式> 久しぶりに見た、ほとんど純度100%のラブストーリー。繊細なトム(ジョゼフ・ゴードン・レビット)と、トムが恋したおなじ会社の新人、ちょっとエキセントリックなサマー(ズーイー・デシャネル)の物語だ。最初に見たときは、正直トムのイタさだけが…

トウキョウソナタ 

<公式> 2008年の東京と、そこにいる家族を題材にした寓話、象徴劇。かつて標準的だった、サラリーマンの夫と専業主婦の妻、大学生と小学生の息子の4人の家族。その家族の全員がそれぞれの転機や危機をむかえて、やがて家族は…という物語だ。 ここで描かれ…

ザ・バンク・ジョブ

公式(英語)> T-REXのGet it onではじまる。1971年にロンドンで実際に起きた銀行強奪事件をもとにしたクライムムービー。おなじイギリスの『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』によく似た雰囲気だ。たとえば冴えない野郎たちのチームがプロ…

母なる証明

公式> 『殺人の追憶』に似た空気をかんじるクライムサスペンス。韓国の田舎町が舞台で、その閉塞感やどこか救いのない感じがただようところも共通だ。ヒットした『グエムル』はちょっとしっちゃかめっちゃかな部分もあったが、この作品は全体に抑制のきいた…

エイリアン2 監督ジェームズ・キャメロン

参考> 押井は作品に何の関係もないけれど、本の中で絶賛していたから見た。当時はエポックメイキングな映像だったということなんだろうけど、これも『アヴァロン』とおなじ「いま見てもなあ」の典型。しかもこっちは1986年公開だ。特撮特撮した部分も結構目…

スカイ・クロラ

公式> 監督はなんどもこの作品は「お仕事」だという。原作、脚本をあたえられて、キャッチーなアニメ表現を求められて、得意の兵器シーンも十分見せてね、という条件のなかで割りきって作る。そのなかで「ヨーロッパ映画的な空気感をだした」と監督はいう。…

アヴァロン

参考> いま見ると、非常に微妙な後味になるのはしょうがない。やっぱり2001年に見るべきだったんだろう。いまさら、当時の表現レベルでこの映画がどのあたりのポジションにいたかなんて分かりようもない。この映画の価値はCGと実写とアニメーションの境界が…

押井守をめぐるあれこれ

このラインナップは押井守著『勝つために戦え!』にインスパイヤされて見た3本。ルックスだけでもっそり喋る押井氏を勝手に想像していたんだけど、(たぶん喋り方はもっそりしていそうだが)えらく切れ味よく、ビッグネームの監督を勝ったの負けたの決め付け…

ラッチョ・ドローム

参考>ロマの人々と音楽を描く、1993年の映画。映画は彼らの起源の地といわれるインド、ラジャスターン州の人々の婚礼の儀からはじまる。そこからエジプト、トルコ、ルーマニア、ハンガリー、スロバキア、フランスのロマたちとその音楽が描かれて、最後はスペ…

HOME〜空から見た地球〜

公式> 世界各地の空撮映像+地球環境メッセージという環境教育映画。無料で見られる映画というコンセプトで製作され、2009年6月、世界中同時にネットやTV、DVD、劇場などで公開された。監督は空撮専門のヤン・アルテュス=ベルトラン(映画と同名の写真集で…

サンタ・サングレ〜聖なる血

参考>ネタバレ注意! ホドロフスキー公式> こんなのあったのか!ホドロフスキーというと、どうしたって『エル・トポ』『ホーリーマウンテン』の手作り感あふれるシュールなイメージの奔流を思い出してしまう。その後彼の名前を見たのはメビウス作画のBD(フレ…

ミルク 

公式> 1970年代に死んだアメリカの政治家、ハーヴェイ・ミルクの最後の数年を伝記化した映画。1984年制作のドキュメンタリーフィルムを下敷きにしたドラマだ。ミルクという人、知らなかった。サンフランシスコの市政執行委員(Superviser)という、いわば市会…

ダージリン急行

参考サイト> ウェス・アンダーソン作品を見るのは『ザ・ロイヤルテネンバウムス』に続いて2作目だ。3兄弟モノ、エゴイスティックな親に傷付いた子供たちが大人になって回復していく物語、という共通のモチーフがある。ギャグ混じりに哀感ただようところもお…

グラン・トリノ

アメリカのおじいさん。 肉体は衰え、その代わりに自分を守ってくれる社会的ステイタスも得られなかったおじいさんは、プライドとセルフ・イメージと、弱者となった自分の実像との乖離に苦しむ。彼が住むのは年長者だから敬ってくれるような文化圏でもなく、…

ディナーラッシュ

TV東京の紹介ページ なぜか詳しい!> 製作が2000年、日本公開が2002年か。映画館に見に行って以来ひさびさにDVDで見たけれど、相変わらずいい感じに軽かった。 物語はプロローグの1日と、イタリアレストランの一晩を描く。舞台もレストランの中とその周囲だ…

紀子の食卓

『愛のむきだし』のあとにさかのぼって見た、園子温監督の2007年の作品。『自殺サークル』(2002)の続編でもある。『むき出し』とこの映画だけの印象だけど、園子温監督の作風はけっこう唯一無二だと思うが、それはある部分に関してはすぱっと割り切り、自…

トーク・トゥ・ハー

予告編>アルモドヴァルの映画の中では構成がかっちりしていて、すごく明快なストーリー。ある種寓話的なアンリアルな物語で「ボルベール」よりはかなり重い、一筋縄ではいかない「愛」のかたちを描いていて、人によっては嫌悪感を抱くだろうけど、そのテーマ…

レイチェルの結婚

公式> *以下、けっこうネタバレです注意! 監督ジョナサン・デミの作品は多分『羊たちの沈黙』が一番知られているけど、僕にとっては『サムシング・ワイルド』というちょっと物悲しいコメディが代表作だ。スクエアなNYのヤッピー(懐!)が、ぶっ飛んだ女に出…

愛のむきだし

公式> 4時間まとまった暇があり、単純に面白い娯楽映画を見たければ、ぴったりの一本だ。監督自身が「ライバルはケータイ小説」といっているくらいで、あれこれ考える前にどんどん出来事が起こるジェットコースタームービーだ。 主人公は神父の息子、ユウ(…

ナビィの恋 中江裕司

西田尚美というひとは、ある時点から華のない苦労人役がぴったりくる女優になってしまったが、1999年のこの映画では別人のような雰囲気を見せる。適度なエロスを供給しつつ、モデル体型の長い手足をのびのびと振り回して天真爛漫に振る舞う彼女は今とはなか…

フロスト・ニクソン ロン・ハワード

まったくピンとこなかったことを告白せざるを得ない。この映画は同名舞台で名演した俳優二人をそのまま配役したことからも、見せ場は名優たちの演技そのものということなんだろう。なかでもフランク・ランジェラのニクソンの評価が高いのはみなさんご存知の…

オールド・ボーイ パク・チャヌク

漫画っぽい極端な演出というのは、どこかが抑えめじゃないと軽すぎてしまって真剣に見られない気がする。この主人公の芝居は僕からするとオーバーアクトすぎた。敵役といい、ヒロインといい、色々とキツめの因縁が用意されているし、ストーリーや暴力描写の…

パフューム トム・ティクヴァ

フランスが舞台だが原作(パトリック・ジュースキント)、監督ともドイツ人。『ラン・ローラ・ラン』の監督ですね。悲惨な生まれの天才調香師(香水作家)が理想の香りを追求するうちに奇怪な犯罪にコミットするというホラー風味のストーリー。わりあい原作…

ショートレビューいろいろ

前に見た映画のショートレビューです。なぜか一つのエントリーにするほどじゃなかったり、見たことを忘れていたり…という温度感。

その土曜日、7時58分

公式>この映画はいわゆる「善人がいない映画」だ。善人がいないスタイルといえば犯罪者たちを格好よく描くピカレスクロマンがある。このブログで取り上げた中では『ユージュアル・サスペクツ』がピカレスクロマンのスタイル。ちょっと違うが『運命じゃない人…

戒厳令

参考> 前回から随分あいてしまった。すみません。ぜんぜん新作を見ていないんです。今回も旧作も旧作、1973年の日本映画です。戦前の政治思想家、北一輝を描いた映画。 この映画、最大の特徴はアヴァンギャルドに近いそのスタイルにある。本当の実験映画は別…

殺人の追憶

参考> 1986-91年に起こった未解決の連続殺人事件をもとに、それを追う刑事側から描いたフィクション。 この映画は不思議な重量感がある。重さって不思議だ。役者でも重量感がにじみ出る人、それがない人がいる。体が大きくても、年齢を重ねていても、軽い役…

グエムル-漢江の怪物 

英語版公式>この映画は韓国国内で歴代1位とも2位という興行収入をあげた。ちょっとそれについて考えてみる。だれでも知ってるように、「興行収入歴代トップ」がオールタイムベストはかぎらない。日本での歴代興収上位は宮崎アニメと『タイタニック』『ハリー…

許されざる者

参考wiki>制作・監督・主演クリント・イーストウッド。1992年公開の「最後の西部劇」。単純にウエスタン・アクションとしても十分見られる映画だと思う。でもこの時期にあえて西部劇を撮るなら、ましてイーストウッドのように作家として撮るなら、どうしたっ…

ぐるりのこと

公式>この映画になにを思うかといえば、「役者の肉体」ということだ。 主演のカナオ役リリー・フランキーは通常の意味での映画的な肉体の持ち主じゃない。そらまめのような顔は他の役者にくらべて無意味に大きく、といって舞台役者のような押し出しのある大…