2013-01-01から1年間の記事一覧

天才マックスの世界

予告編> これ見たのにすっかり忘れてたな....主人公はわりとお坊ちゃんな高校に通う、あまりリッチじゃない家の子。学業はてんでダメで、その代わり無数の校内クラブの部長だ。実業家である同級生の父親(ビル・マーレイ)は、妙に彼に共感して、年の離れた友…

野良猫ロック 女番長/野良猫ロック ワイルドジャンボ

予告編> 日活のサイケ&ポップカルチャー&無軌道青春モノ。どうみてもかわいい梶芽衣子、范 文雀、それに一人だけ人種がちがうような体つきの藤竜也。当時っぽいファッションとかバンドのライブシーンとか、『女番長』では大根っぷりがまぶしい和田アキ子の…

おおかみこどもの雨と雪

公式> ふしぎな脚本ではあった。でも泣けた。気持ちよくね。よかったのは親子三人が雪の山を駆け回るシーンだった。親が、とくに母親が全開で子供と走り回れる時期なんてホントに短い(スポーツしてれば別だけど)。その一瞬のかがやきを祝祭としてテレもな…

さんかく

予告編> ストーリー:同棲しているカップル(高岡蒼甫・田畑智子)のところに彼女の妹(小野恵令奈)が夏休みに遊びにくる。無邪気をよそおいつつ何げに女を全開にする妹に、男はあっという間にはまる。妹が田舎に帰っても気持ちはおさまらずに、その勢いで女と別…

闇の列車、光の旅

予告編> 列車の屋根に無賃乗車して貧しい人々が旅をする。『天国の日々』もそうだった。旅が帰る場所のあるものだとすると、これは旅じゃないかもしれない。違う世界に脱出するために彼らは屋根に乗る。『天国の日々』の舞台は90年前。アメリカでは歴史上の…

ヤギと男と男と壁と

予告編> ジョージ・クルーニー。ゴージャスな容姿とかなりアクティブな社会派としての活動。リベラルなハリウッドスターは珍しくないけれど、日本にはこのバランスはあまりいない。ミュージシャンにはけっこういるのに俳優には少ない。ま、日本の役者さんテ…

ミッドナイト・イン・パリ

公式> 奇跡みたいに才能が集まる一瞬がある。トキワ荘なんてそうだ。それから、ボサノヴァが誕生した時のリオの一角。中上流の坊っちゃま嬢ちゃまがサロン的につるんで音楽や詩を披露してる中に、たまたまジョアン・ジルベルトとアントニオ・カルロス・ジョ…

2013年たなおろし

このブログ、見たのにエントリーにしていない作品がけっこうあるのだ。2013年も終わりに近づいたことだし、そのなかからいくつか、棚おろし。

シン・レッド・ライン

予告編> 『最前線物語』とくらべるとこの映画の不思議さがよく分かる気がする。まず脱走兵たちの開放感にあふれた平和な日々から始まる。メラネシアの穏やかな海と穏やかな人たちがパラダイスみたいに映される。彼らが仕方なく部隊に戻るところからやっと物…

最前線物語- The Big Red One -

予告編> 従軍経験があって、ノルマンディー上陸にも参加した監督サミュエル・フラー。この映画のなかの歩兵戦の戦場は、いつも砂塵や硝煙でまわりがよく見えない、轟音で声も聞こえない、しまいには接近しすぎてどっちにいるのかもよく分からない敵と撃ち合…

きっとここが帰る場所 ーThis must be the placeー  

公式> ストーリー:シャイアン(ショーン・ペン)は元ロックスター。すべてに気力をうしない、引退同然で、消防士の妻とダブリンの豪邸でくらしている。なぜか現役時代のゴスっぽいメイクと格好のままでショッピングモールにでかける。そんな彼にチチキトク…

17歳の肖像[An Education]

予告編> 年に300本以上見るという居酒屋店員の女の子が絶賛していたこの映画、なんか主人公の子がぴんとこないなと思いながら2回見てからやっと気がついた。どう考えても女子映画だったのだ。だってこれ、17歳の女の子の愚かさを全肯定する話なんですもの。…

噂の女

予告編> 舞台は島原。主人公は芸妓や娼婦じゃない。お茶屋の女主人とその娘だ。毎晩のお座敷の予約を受けて、芸妓を手配し、料理や酒の差配をする。話は3作のなかで一番軽い。母(田中絹代)のもとに東京で失恋して自殺未遂したという娘(久我美子)が帰ってくる…

赤線地帯

んん?これ..> これはまたなかなかに・・巨匠のリアリズムといわれるこの作品だけど、娼婦たちも、遊郭も、そのまわりの路地もきれい目には撮らない。ついでにいうと、娼婦の平均年齢も高い。成人した息子がいたり、病身の旦那と子どもをやしなっていたりと…

祇園囃子

冒頭> 一番おもての世界、というか普通にメジャーな祇園。『祇園囃子』は3本の中でははなやかだし、新人の舞妓(若尾文子)も姐さん芸者(木暮実千代)もきれいに撮られている。新人舞妓はちゃんと芸事や所作のけいこをして、お披露目ではゴージャスな衣装を着て…

ミゾグチ、「この世界」もの3本

溝口監督の花街・遊郭もの3本。巨匠はとにかくこの世界を描いたものが多くて、ほかにも祇園を舞台にしたもの、いわゆるパンパンを描いたもの...いくつもある(未見だけど)。すくなくともこの3本、とくに『祇園囃子』『赤線地帯』は、とにかくシビアな現代劇、…

ルビー・スパークス

公式> ストーリー: 10代でセンセーショナルなデビューをかざった作家カルヴィン。いまでも彼と彼のデビュー作はそれなりに人気だ。でも作家はその後10年長篇が書けないでいる。自分の何が問題なのかいまひとつはっきりしない彼は夢で理想の女性と出会った。…

メランコリア

公式> 前に『HOME』や『不都合な真実』を見た時に思ったけど、環境問題の映画ってやけに終末感が濃いのがあるよね。どうしても聖書的な、堕落した人間と破滅の物語になしたくなるんだろうか。<終末を予感させる不吉な映像のたたみかけ→一条の光、ささやかな…

ロスト・イン・ラ・マンチャ

予告編> こちらは撮影延期や中止話がやたらと多いテリー・ギリアム師のドキュメンタリー。僕は彼の『ラスベガスをぶっとばせ』とか『ローズ・イン・タイドランド』とか大好きだ。逸脱していくものへのかぎりない愛情と共感に満ちている。でもものによっては…

ことの次第

予告編> ヴェンダース、1981年の作品。 ストーリー:アメリカのプロデューサーに雇われたドイツ人監督がポルトガルロケで古いSFのリメイクを撮ろうとする。カメラマンはハリウッドのベテラン(サミュエル・フラー)だ。ところがすぐにフィルムがもうないことが…

映画を撮れないことの映画もある

映画を撮ることの映画は面白いのが多い。 むかしから名作はあるけど、当ブログでいえば『僕のミライに逆回転』『ライフ・アクアティック』がそうだし『桐島、部活やめるってよ』も映画づくりがキモだ。なんだろうね。内幕モノの面白さもあるし.....よく考え…

裏切りのサーカス

予告編> この密度感。これだけ情報量が凝縮された映画はそうそうない。そしてひたすらなシブミ。抑制が効きに効いた無駄のない描写。派手なギミックが一切ないエレガントな画面(CGはもちろん使われてる)。原作はジョン・ル・カレの名作だ。 ストーリー :…

ニーチェの馬

公式> すごく「もの」としての質感を感じるような映画だった。 なんていうんでしょうね、画面の中のできごとや人たちと見ているぼくたちの間に「映画」という確固としたものがどすっとある、べつにメタ的な見せ方をしてるわけじゃないんだけど、「映画」とい…

欲望のあいまいな対象

予告編 > ルイス・ブニュエルの遺作、1977年公開。古典のつもりで見始めたけど、ふつうに面白かった。初老のお金持ちの男が美しい18歳(自称)の娘に惚れて、金にあかせて愛人にしようとする。女は物や金は遠慮なく受けとるけれど、あれやこれやと理由をつけて…

アルカトラズからの脱出

予告編> 1979年、ドン・シーゲル監督。1962年におきた実話がベースの監獄脱出モノだ。 それにしても、この囚人たちは何でこんなにカッコいい衣装を与えられてるンだッ⁈ 固くて重そうなメルトンのピーコート、シャンブレーのシャツ、カーキのパンツ・・・ピー…

ブルーバレンタイン

予告編> 倦怠期の夫婦、妻が完全に夫に愛想をつかす2日間を描いた2010年、デレク・シアンフランス監督作。僕はこの映画、ぐっさりささってもおかしくないはずなんだけど、でもそんなにはまらなかった。ただ、ライアン・ゴズリングは『ドライヴ』の無口なタフ…

ザ・ドライバー

予告編> 1978年、ウォルター・ヒル監督。不思議なことだけど、スピーディーなアクション映画なのに、何回見ても途中で寝落ちした。だから最初なんてシュールなまでに途中経過を省略した話なのかと思ったすまん。もちろんそんなことはなくて、というより、む…

トラフィック

予告編> ジャック・タチ、1971年の作品。しかしこのビジュアル。なんてエレガントで格好いいんだ.. 大借金をつくった『プレイタイム』の次の作品だ。よく似ている。祝祭的な世界があっておおぜいの人が集まる。ひたすら続くトラブルがある。ユロ氏(タチのキ…

ウィッカーマン(Ver.1973, Ver.2006)

オリジナル予告編>ラジー賞バージョン> ウィッカーマン。ドルイド教の儀式に使われた人形だ。木の枝で編んだ巨大な人の形のカゴみたいなもので、中の小部屋にいろいろな家畜が入れられた。中央はひときわ大きな部屋。人が入るところだ。古代ケルト文化のもの…

ビフォア・サンライズ/ビフォア・サンセット

ビフォア・サンライズ予告>ビフォア・サンセット予告> 恋愛もののクラシックをいまさら見る。ま、9月だし。まずは『ビフォア・サンライズ』。「ヨーロッパに旅に出たアメリカ人青年と、列車でふと出会ったフランス美女が、初夏のウイーンの一夜、恋に落ちる…