2012-01-01から1年間の記事一覧

ライフ・アクアティック

予告編> 漫画っぽい絵やギャグ、シンメトリーな背景の真ん中に役者を正面から撮る肖像写真みたいな構図。わざと作り物っぽくしたセットや特撮。ディズニー制作のこの映画は、それこそピクサーのアニメみたいに、子供にもキャッチーな映像のなかで、大人のし…

都会のアリス

予告編>←というよりサマリー。見るとだいたい分かっちゃう ひさしぶりに見たヴェンダース。1973年。ひたすらに移動をつづけるロードムービーだ。 ストーリー:アメリカ紀行文を書くため旅するドイツ人ジャーナリスト、フィリップ。でも旅に疲れアメリカの風…

4ヶ月、3週と2日

公式>予告編> この映画、ストーリーを紹介するのはやめておこう。旧作とはいえモロネタバレはさすがに自重してる当ブログだけど、ここでは途中の展開もやめとこうと思う。シンプルな物語なのだ。ある冬の1日、2人(というかほとんど1人)の女性の朝から夜ま…

黒い十人の女

予告編> 市川崑、1961年の作品。ビスタサイズの画面を、タイトルどおりにとっぷりと黒い暗部で塗込めたみたいな映画だ。でも雰囲気は意外に軽妙で、生活感ゼロのスタイリッシュムービーでもノワール的なダークな物語でもない。悪人になりきれないかわいい悪…

ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う

公式> 前作『ヌードの夜』から17年後、まったく同じ絵で物語がはじまる。新宿近くのガード下、大雨の夜、古びたコンクリートの壁に「なんでも代行屋 紅次郎」のチラシが車のヘッドライトで浮かんで、そこに同じデザインのタイトルがどーん。主人公紅次郎(竹…

ヌードの夜

予告編> 石井隆。僕が初めて映画で石井隆にふれたのは日活ロマンポルノ『天使のはらわた・赤い淫画』(1981)だった。原作石井隆、監督池田敏春、主演泉じゅん。ポルノのつもりで見に行ったら純粋に映画としてすごく面白かった。池田敏春監督、今何を撮って…

ジャッカルの日

参考imdb>予告編> サスペンスの古典ですね。ドゴール大統領をめぐる史実を題材にしたF・フォーサイスのポリティカルサスペンスが原作。この映画、まずは「おーシトロエンの映画じゃん!」と喜んだねおれは。シトロエンDS19だ。名車中の名車だし、フォトジェ…

回路

公式>予告編> これは難しいこと考えずにホラーとしてみた。2001年。ネットが霊的な怖い世界の「回路」になって人々がその世界に取り込まれて消滅する話だ。後半は話が急角度で拡大していて、いつのまにか世界が破滅する勢いになっている。その理由は「幽霊が…

カリスマ

予告編> 黒沢清による<エコ+ホラー+ファンタジー+不条理人間ドラマ+ヒューマン思想>的映画。1999年。 ストーリー:刑事の蓮池(役所広司)は休暇を取らされて森に入る。そこには「カリスマ」とよばれる奇妙な、怪物的な木があった。その木を守るもの、…

ユリイカ

予告編> 青山真治のいわゆる「北九州3部作」の2作目。2000年公開。第1作『Helpless』第3作『サッド・ヴァケイション』と地続きの世界だ。『Helpless』は、はじめから失われていたり、失っていったりする物語だった。『ユリイカ』は最初に徹底的な喪失が描か…

ショーン・オブ・ザ・デッド&ホットファズ

Shaun of the dead ホットファズ公式> エドガー・ライトとサイモン・ペッグの愛すべき二つの映画。ストーリーは予告編で。これとこれ(特にホットファズのはほとんど丸わかり!) いまごろ見たけどすぐに好きになった。気持ちいいシンプルな展開と小気味良い…

ヤング・ゼネレーション(Breaking away)

参考(imdb)・予告編> やわらかい映画。青春映画の一つの傑作にラインナップされてる1979年の作品で、総合的にはわりとのんびりした青春だ。時代か。1979年。大統領でいえばカーターだ。あのジョージアンの顔。さすがに今のアメリカ諸問題を処理するにはのん…

バンカーパレスホテル

参考(imdb)・予告編> かなりひさしぶりにみた。BD(フランス・ベルギー中心のアートコミック)作家、エンキ・ビラルの初期の監督作品(1989)。そのあと『ティコ・ムーン(1997) 』というひんやりしたなかなかいい作品を撮っている。このブログではそのあとの…

現金に体を張れ(The Killing)

参考:imdb>imdbは英語サイトなのに日本から見ていると題名が邦題のローマ字読みになります。 親切というかときどきくすぐったいというか… スタンリー・キューブリック1956年の作品。いままでに何度も言及していたわりに、じつは見ていなかった。いわゆる「…

ブラック・ダリア

公式=ほとんど情報ない…> 1940年代後半におきた実在の未解決、猟奇殺人事件を題材にしたJ.エルロイの小説が原作(読んでない)。この事件は死体の損壊がすごく猟奇的に見えたうえに、被害者が女優になりたくてなれなかった美女で、ハリウッドのダークサイド…

冷たい熱帯魚

予告編> これ見終わったらなんか本当に調子悪くなった。スプラッタシーンで気持ち悪くなったわけじゃないし、村田(でんでん)に圧倒されて被害者気分になったわけでもない。どっちかというと社本(吹越満)のどん詰まり感に、風景のさむざむしさも含めてな…

インセプション 

公式> それなり楽しんで見たけどいまいち感想がわかないなあ。設定は面白いもちろん。夢の世界を操作する技術者、そして「夢の中の夢」みたいに何層にもなっている世界、上のレイヤーの夢でのできごとが下の夢に影響をおよぼす・・・でもなんでここで、リア…

トイ・ストーリー3

公式> いや、じっさい泣いた。『Cars』もよかったしなピクサー。 ストーリー:『トイ・ストーリー』から約10年、おもちゃたちの持ち主アンディは高校を卒業して大学に入るため家をでることになって、おもちゃたちは岐路に立たされる。捨てられるのか、屋根裏…

エンター・ザ・ボイド

公式> ノエという監督は、観客に普通の劇映画を見るときよりも、もっと直接的な「体験」をさせたいと考えてるタイプなのかもしれない。結果的に体験として深く強く残るかはまた別。普通の劇映画だって一生忘れられないようなシーンがあったり人生観が変わる…

アレックス(原題:irrevresible=不可逆)

参考(imdb)>*序盤、けっこう書き直しました(なんとなく考えが変わったので・・) また形式の話からはいってしまうけど、この映画は一つ前に書いた『メメント』みたいな時間を逆行する構成だ。このタイプではジェーン・カンピオンの『ルイーズとケリー』(19…

メメント

参考(imdb)> 2000年公開、クリストファー・ノーラン監督の長編2作目。妻を強盗に殺された保険調査員レナード(ガイ・ピアース)の物語。レナードはその場で強盗の一人を殺すけれど、隠れていたもう一人に頭を殴られ、記憶に障害を負ってしまう。レナードは…

エグザイル 絆

公式(英語)> ジョニー・トー作品では『冷たい雨に裏切りの銃弾を』を先に見た。映画の見た目はほぼおなじ。「漢映画」ファン随喜の涙を絞り出すマスターピースとされている香港ノワールの一本だ。すごくざっとストーリーを書くと、舞台は中国返還直前のマカ…

ウエスタン(Once upon a time in west )

参考(imdb)> これまた名作中の名作。しかもぼくはレオーネ作品はビギナーだ(あとは『夕陽のガンマン』くらい)。だから手短かにしとこう。 映画の中で表現される「格好よさ」、もっと範囲をしぼると「男の格好よさ」というのはいくつか祖型がある。この祖型…

チャイナタウン

ポランスキーつながりで最近見たのでおまけ。ここまで名作になるといまさら長々と書くのはやめとく(といいつつ黒澤作品とか結構書いてるけど)。ひとつ思ったのは主人公ジェイク(ジャック・ニコルソン)がギャングに襲われるシーン。ギャング役は監督のポ…

ゴーストライター

公式> ポランスキーのポリティカル・サスペンス。モチーフは「英国元首相の秘密」「対テロ戦争スキャンダル」「軍需産業の暗躍」「CIAの陰謀」。「CIAの陰謀」・・・なんて既視感のある言葉ですか! 小学生の時に読んだ「世界のスパイ列伝」的な本で(なぜか…

ローズマリーの赤ちゃん

参考(imdb)>wiki:面白いエピソードいろいろ!> 『吸血鬼』につづいてポランスキー初期の名作。NYのクラシックなアパートに新婚の夫婦が引っ越してくるところから物語ははじまる。夫はうれない俳優。いわくありげなアパートで隣にはなんだか趣味の悪い老夫婦が…

殯の森

公式> 奈良市東部の茶畑や森に囲まれた里が舞台。30年以上前に妻を喪ってから生きる意味が見つけられないまま、山里にあるグループホームでくらす認知症の老人、しげきと、幼い子供を喪って罪の意識からのがれられないグループホームの介護士、真知子(尾野…

十三人の刺客

公式> オリジナルは未見。ほとんど予備知識もなかったから一回目に見たときは刺客たちの身分もぼんやりしていた。殿様暗殺を命じられる主人公の島田新左衛門(役所広司)は御目付役、じつはこれ幕府のなかでもけっこう上位のポジションだったのだ(このサイ…

180°SOUTH 

公式> まえに『イントゥ・ザ・ワイルド』でちらっと書いていた、二人のアメリカ人の、パタゴニアへの旅の記録・・・のつもりで見たのがこの映画。その二人というのはNORTH FACEの創業者、ダグ・トンプキンスと Patagoniaの創業者、イヴォン・シュイナード。4…

吸血鬼

参考(imdb)> 2012年にも快調に新作が公開され続けるベテラン監督ロマン・ポランスキーが、若い頃、まだアメリカで活動できていた頃に撮ったコメディーホラーだ。この作品はちょっと彼のバイオをあたればすぐわかるように、その後の悲劇的な人生に直接つなが…