2012-01-01から1年間の記事一覧

ラスベガスをやっつけろ & GONZO

参考(imdb)>GONZO公式> まずはジョニー・デップのファンで未見の人がいたら見るべきだな!有名な「デップのハゲ姿」のインパクトはおいといても、デップという役者のある面がわかるだろう。そもそも彼のこの役への入れこみは半端じゃなかったそうだし、役作…

The Fall 落下の王国

公式> すごく独特な映画で、「あの映画みたい」というのがなかなか思いつかない作品だ。 物語の構造は、フィクションがあって、その登場人物が語るフィクション内フィクションがあって、二つのストーリーが平行してつづく。こういう構造はめずらしくない。直…

ぼくの伯父さん

タチの「伯父さん」キャラはひとつの定番で、1958年のこの作品のまえに1952年に『ぼくの伯父さんの休暇』を撮っている。伯父さんという存在のいい具合っぷりは古今の小説や映画やドラマが証明している。このブログでも小津安二郎の「伯父ー姪関係」について…

プレイタイム

見ればみるほど不思議な、伝説のコメディ。パリの空港と街中のある一昼夜をえがく。前半は無機質な現代都市の中でひとびとが動き回り、主人公ユロ(タチ)はところどころで顔を出してうろうろする。後半は本日開店のゴージャスなナイトクラブが舞台。開店時…

ジャック・タチ2題

あらためて、タチ2作。公式(オサレ!)>

マインド・ゲーム

公式> 湯浅政明の『ケモノヅメ』『四畳半神話体系』どちらもけっこう好きだ。ラフな画風で、奇妙で暴力的でスタイリッシュな『ケモノヅメ』、うってかわって整った線と装飾的な画面で京都の大学生たちをかわいく描いた『四畳半』、どちらもいまの日本のアニ…

エグジット・スルー・ザ・ギフトショップ

公式> 前回につづいてアートモノのドキュメンタリー(いちおう)フィルム。『ハーブ&ナンシー』がわりあいかちっとした、というのはちゃんと作品として売りに出ているアートピースをふつうに金を払って買う、という作品と受け手の関係を描いていた映画だっ…

ハーブ&ドロシー

公式> NYにすむ老夫婦に何年か密着して撮ったドキュメンタリー。ちょこんとしたおじいさんと、ちょっと足が不自由になったかれをささえて歩く聡明そうなおばあさん。二人と猫が住んでいるアパートはなんだかごちゃごちゃとして、とてもトレンドやハイカルチ…

フード・インク E・シュローサー&R・ケナー

公式> この映画は、当ブログで前に紹介した『ファストフード・ネイション』と異母兄弟みたいな関係だ。巨大企業の寡占状態になってその論理に完全にコントロールされている、アメリカの食の実態を告発するという内容。両方の原作本を執筆しているジャーナリ…

乱暴と待機

公式> これは予備知識ほとんどなしでジャケで選んだ。あと本谷有希子の作品を一度も見たり読んだりしたことがなかったからお試しという意味で。で、感想はというと・・・うーん。ひとことでいうとぼくは物語設定の世界のちいささがかもしだす閉塞感みたいの…

イリュージョニスト 

この映画はジャック・タチというコメディアン/映画作家の存在によって意味付けられているから、もしぜんぜんタチを知らないとしたら少しもったいない(参考HP)。脚本はタチの未発表脚本がベースになっている。まあ映像だけでも十分楽しめるけどね。タチは1…

殺しのドレス

参考> 温故知新月間のラストは1980年。デ・パルマの代表作のひとつで、サスペンスのクラシックに入れてもいいだろう。この映画について何か言うとなるとヒッチコックのオマージュ的な話がまず出てくるけれどそこは略。 この話、前半と後半で主人公というかヒ…

洲崎パラダイス赤信号

参考(いちおう)> これもぼくにとっては風景を楽しむ映画かもしれない。まあ古い映画ってそもそもかなりそういうものだけどね。もちろん話のテンポもいいし、ちょっと類型的だけど新珠三千代や轟夕起子、芦川いづみなどの女性キャラはなかなか魅力的だ。そ…

山椒大夫

溝口代表作のつづき。とりあえず有名どころから見ている感がアレですが。古い説話を翻案した森鴎外の小説が原作で、昔話らしいシンプルなキャラクター設定によるシンプルな物語だ。平安時代のある国の国守を父にもつ家族が主人公、父は領民を守るために義を…

雨月物語

参考> 名作温故知新月間、はじまる(ひっそりと)。1本目はあまりといえば名作。名作すぎていまさら何か付け加える世界でもないんだけど、まあ。 で、こういう映画を見ると「日本の風景」ってたしかに変わったんだなとしみじみ思う。宮川一夫撮影による名シ…

その街のこども 劇場版

公式> 3.11。直接の被災地でない東京でも電車に乗れずに何キロも歩いて家に戻った人が何十万人といた。その後も前もって体験しておこうとして都心の勤め先から自宅まで何時間もかけて歩いてみた人もいた。まちを歩くということ。中高年レクリエーションの「…

モテキ

公式> あまり予備知識なしでDVD見はじめたら2日で3回も見てしまった。もちろんそれは長(ry、いやそれはおいといて。 すこし前の『オーケストラ』がクライマックスシーンのための映画だと書いたけれど、『モテキ』は最初のシーンがベストじゃないかという気が…

それから

追悼もふくめて見た。森田芳光、R.I.P. でも正直に言うと最初に見たときは映画のペースにうまく乗れなくてエンディングはまだかなーと思ってしまった。主人公二人、とにかく徹底的に動きを抑えた演出で、セリフも原作の言い回しをそのまま再現しているから、…

ニッポン建設映像祭 番外編

主催者web> 今回はちょっと変わった映像について書きましょう。この前見に行ったのでね。これまでに何度かおこなわれていたイベントで、評判だったから一度見てみたかったのだ。 「建設映像」というのは、事業者や建設会社が自分のプロジェクトの記録を短編…

オーケストラ

公式> クライマックスシーンのための映画、ってある。ラスト10何分がすべてで、そこまでは助走にすぎないみたいなね。『オーケストラ』もそういう映画だ。開始後110分までにいろいろ不満はたまるんだけど、クライマックスの12分でぜんぶ洗い流されて、心地よ…

3時10分、決断の時

Imdb> モダナイズされたウエスタン。これも『トゥルー・グリット』と同じリメイクものだ。原作は『ジャッキーブラウン』と同じエルモア・レナード。『トゥルー』の世界が、どこかシュールでドライで、たとえば聖書の知識がないと飲み込みきれない象徴表現な…

冷たい雨に撃て、約束の銃弾を

公式> 香港ノワールだけど主人公はフランス人。その主人公ヴィンセントの存在の微妙さに惚れた。そもそもヴィンセント役のジョニーアリディをほとんど知らなかった。フランスの「国民的スター」だとは・・・世の中知らないことはたくさんある。しかしこの顔…

サウダーヂ

<公式> ひさびさの映画館。映画館のよさのひとつは終了後の客の表情をみられることだ。どういうわけかみんな無表情というか、なんだか沈んだ表情に見えた。観察している自分も沈んだ顔をしていたかもしれない。楽しいけれど希望はない映画だ。今の日本人の…

ブラック・スワン

<公式> この映画、トップダンサーが「バレエ界の内幕がこんなだって誤解される!」と批判していたね。まあストーリーは外側から見た憧れ妄想込みなんだろう。だいたいバレエ団のエロコーチにフランス人のヴァンサン・カッセルを持って来ているあたりでアメ…

トゥルー・グリット

<公式> 西部劇はしばしば旅の物語になる。でてくる人々はたいがい大都市から離れた小さい町々や荒野の一軒家に住んでいるから、物語が動き出して主人公がどこかへ行こうとするとどうしたって旅になってしまう。あるいは旅人がふと物語の舞台にやってきて、…

ディア・ドクター

<公式> この映画、ひょっとすると「農村の美しい風景を舞台にしたヒューマンドラマ」としてラストまで見終えてしまい夕飯のおかずを買って家に帰った人がけっこういたかもしれない。無理もない。そういう映画ならではのアイテムはそろっているし、所々には…

現金と美女と三悪人 ー熱泥地ー

参考(ただしストーリーがちょっと違うような・・・)> 珍品。市川崑のキャリアの最初期で、 彼の作品のなかではたぶん怪作あつかいになるんじゃないだろうか。シーンのつながりも悪い奇妙な映画だ。1950年新東宝製作。新東宝という会社は東宝からのスピンオ…