ナビィの恋 中江裕司


西田尚美というひとは、ある時点から華のない苦労人役がぴったりくる女優になってしまったが、1999年のこの映画では別人のような雰囲気を見せる。適度なエロスを供給しつつ、モデル体型の長い手足をのびのびと振り回して天真爛漫に振る舞う彼女は今とはなかなか結びつかないほどだ。
栗国島でロケした沖縄離島のいなかの風景は、内地の人間が夢見る古き良き沖縄そのものであり、もう何もいうことはない。
何より、登川誠仁師が演ずるダンナの格好良さにしびれるだろう。もともと彼の唄のファンだったからよけいそう見えたんだが、因縁の愛に出奔する老妻をすべてにおいて許し切るこの包容ぶり。深すぎる。マッサージチェアに泣けもう。