オールド・ボーイ パク・チャヌク


漫画っぽい極端な演出というのは、どこかが抑えめじゃないと軽すぎてしまって真剣に見られない気がする。この主人公の芝居は僕からするとオーバーアクトすぎた。敵役といい、ヒロインといい、色々とキツめの因縁が用意されているし、ストーリーや暴力描写の容赦なさをふくめたテンションはその辺のサスペンスもどきははるかに超えているが、たとえば素手で武器を持ったヤクザ20人くらいをワンカットで一気にブチ倒せるとかいう漫画的設定の主人公が、クライマックスで床を転げまわってわめきちらすような芝居となると、大げさすぎて最終的には失笑気味になってしまう。この映画は北野武の一定の影響下にあると思うが、北野の極端に抑えた芝居とは対照的である。むしろ敵役ユ・ジテの不気味な存在感のほうが映画を支えているように見える。