レスラー ダーレン・アロノフスキ― 

<公式(英語)>
 けっきょくのところ、ごまかしなしでそのまま撮れるミッキー・ロークの体の説得力につきるんじゃないだろうか。なんども出てくる、背中越しにランディ(ローク)が歩いていくさきを見せるシーンも、この肩と背中があるから絵になる。
よく言われることだけど『アンヴィル』とすごく近い世界だ。自分の栄光はすでに古くさい、過去の物だとわかっていても、帰る所はそこしかないんだ、という覚悟の世界。それに固執することがときには自分を傷つけていく世界。それでも彼らには栄光の時代がすくなくともあった。何年たっても最後までついてくるファンがちゃんといる。栄光の時代を経ることもなく、それでも帰る所がここしかないような人生を送る無数のひとびとは、再生や破滅のドラマにすらならないだろう。その香りがするのが『SRサイタマノラッパー』で、彼らは若いからまだドラマとして成立するけれど、ひやっとするようなリアルさはあっても「どことなくいい話」には決してならないような気がする。

そういえばランディが惚れるストリッパー、キャシディ役のマリサ・トメイは『その土曜日、7時58分』でもセクシーすぎる妻役を演じていた。ひとつ驚かざるをえないのはこの人1964年生まれということだ。まさに美魔女。