ハングオーバー


<公式>
ある地方都市の健康ランドで見た。肉体的・精神的に消耗する旅だったから、健康ランドのまったりした世界に心底癒された。 離れの温泉宿もすてきだろうけど、こういう場所だと同じように癒される見知らぬ他人がいるのがいい。だれもがあのアホな原色トロピカルな衣装を着てゆるみ切っているわけだ。ベッド型仮眠室、ファーストクラスシート(+液晶TV)の休憩スペースに、ビッグスクリーンのシアターまである。これはすごい。2000円ちょいで泊まって温泉に入って映画見てこのプライス。
で、映画。ひとついえることは本作はこういう状況で見るのにはぴったりな一本だということだ。あえてケチをつけると、微妙なのは日本語字幕があるのに吹き替え版だったことだ。字幕と吹き替えセリフがときどき違っているのも気になる。誤訳というより省略のしかたでね。それで、たぶんそのせいで、いまひとつギャグがおかしく感じなくなってしまったのだ。吹き替えのギャグって微妙だ。あまりにも。それこそ善兵衛大ヒットコメディーだというに、あんまり笑えない。

主役は4人だけど、その1人をさがす構成になっているので、基本はトリオ漫才スタイルだ。定石どおり、一人は二枚目、一人はひょうひょうとしたノッポメガネ、一人はちびデブ。それぞれわりと有名なコメディアンだそうだけど、ちゃんとキャラごとに人材がいるところがすごいね。主人公たちがあう「ひどい目」が思った以上にエクストリームなひどい目なのが斬新だったかもしれない。映画によっては目をそむけたくなる残酷(拷問)シーンになりそうなのが、完全にギャグで使われてたりするのだ。それ以外もかなり暴力的にひどい目にあっている。あと、微妙なホモネタがいくつかあって、これ日本でもそうだけど、あらゆる差別が駆逐されているエンタメの世界でもホモネタはいまだに笑いの材料にしてOK、というところが不思議だ。
あと、おなじみの「傷つけちゃいけない大事な車がだんだんとボコボコに」もちゃんとある。最後はボコボコになるけれど、意外と効果的な笑いのタネというほどじゃなかった。今回、むざんにボコボコにされたのは60年代のメルセデスカブリオレだった。ああいうのは専用のリペア業者がいるんだろうな。
ラスベガスは街全体が健康ランドといってもいい。精一杯クールを気取っても、そこをうろうろする客は全員アホになる。3人のアホさと浮かれぶりが街にぴったりなじんでいる。