ジャッキーブラウン


かなり久しぶりに見た。エルモア・レナード原作ものだと『ゲット・ショーティー』があるが、プロットはたぶんあっちのほうがしっかりしているけれど、やはりこっちのほうが好きだ。初めて見た時はパム・グリアー(ジャッキーブラウン)が口を片方に曲げて笑うのが妙に怖かった。今見直すと、ファーストシーンで空港の長い通路をスタスタと搭乗口まで歩くジャッキーを水平移動のカメラが追うシーンがたまらなく格好いい。

ロビー役のサミュエル・ジャクソンは相変わらずアホでありながら残酷という素敵なキャラ。それにもましてひたすら間抜けなルイス役のデニーロがいい。この抜け切った役はデニーロの芝居の中でも結構好きなほう。さらに自身のキャリアの中でもトップクラスであろうアホな役を美脚全開で演じ切るブリジット・フォンダにほれた。トリック、というかプロット自体は正直それほどぱっとしないのでジャッキーがあまり切れる悪女には見えないんだけど、その分開き直るおばさんのせこさとタフさが全面にでてそれもまたよしである。なんといってもなめてる(いい意味で!)のが、物語上もっともうまく立ち回って、しかもジャッキーにほのかに惚れられるという一番おいしい役の男がもっとも冴えないという事実。着こなしから立ち居振る舞いから、どう見ても格好よく撮っていないのだが、それが真面目にいい男役を演じる(ドラマ内で)すがたをにやにやしながら見ている感じだ。