2013-01-01から1年間の記事一覧

幕末太陽傳

<公式> 川島雄三の映画はいつもその時代の風景につれていってくれる。古い映画はもちろんそうなんだけど、小津や溝口ともどこか違うんだなぁ。シンボリックな風景より、もっと身近な空間の手触りみたいなところなんだろうか。この映画、もちろん名作中の名…

わが町

<日活の解説サイト> この映画、ぼくにとっては、辰巳柳太郎の顔相と、川島雄三が描く大阪下町の路地・長屋の空間をめでる一本だ。出だしの、一面の瓦屋根が泣ける。天王寺区の生国魂神社の裏手あたり、寺町のふんいきだ。映画のなかでも長い土塀がつづく、…

パレルモ・シューティング

公式> ヴェンダースの最近作ってぜんぜん見ていなかったからそうとう久しぶりだ。 ストーリー:デジタル技術を駆使して自在にイメージを作り上げる売れっ子カメラマン、フィン(カンピーノ)。しかし妻との離婚騒動もあっていろんなことに嫌気がさし、どこか死…

明かりを灯す人

公式> ストーリー:キルギスの寒村にくらす主人公は村で一人の電気工。いつも電柱にのぼり、村人の家の配線を直したりして、妻と3人の娘をやしなっている。夢は渓谷に風車を建てて、風力発電で村の電力をまかなうことだ。そんな村にも中央で政治に乗り出そう…

アメリカン・ティーン

予告編> ある高校の生徒たちの1年。舞台になる人口13000人の小さな町ワルシャワは、シカゴから200km。どこが町の盛り場だかわからないようなところだけど、中心部に湖がいくつもあって、水辺の別荘地みたいなのもある。なかなかいいロケーションだ。ちなみに…

アメリカンビューティー

予告編> この映画がアカデミー作品賞を取ったのはこころなしかふしぎな気もする。あらためてみたけど、そこまでか? くさった(でも社会的にはそこそこOKな)人生を送ってきたおっさんレスター(ケビン・スペイシー)の解放と再生の物語を軸に、アメリカ的成…

夕陽のガンマン

予告編> だいぶ前にみたからあんまり覚えてないな。まあ古典の名作だし。主演モンコ役のクリント・イーストウッドはともかく、助演モーティマー大佐役のリー・ヴァン・クリーフ、彼の役はモンコのライバルの賞金稼ぎで射撃の名手。これがなかなかの存在感で…

八日目の蝉

予告編> ストーリーは予告編でだいたいわかります。 正直、泣けた。さすがに泣けるでしょうこれは。角田光代の原作小説を読んでいないからこれでも十分長いし丹念に描いていると思ったけれど、愛読者のなかには「はしょりすぎ」みたいな感想がけっこうある。…

僕のエリ、200歳の少女

予告編> 監督トマス・アルフレッドソンの『裏切りのサーカス』があまりによかったから、あわてて見てみたたらこっちも完全にフェイバリットになってしまった。映画そのものの魅力もそうだけど、デザイン(作り方の)意図が明快な映画で、そういう意味の面白…

私が、生きる肌- The Skin I Live In

公式> *以下、わりとネタバレ指数高めです! 日本語タイトル、どうなんだろうこれ。素直に訳しているといえばそうなんだけど(原題のスペイン語も英語とおなじ)、なんか川端康成的にあいまいな文になっちゃってないか。 それはともかく。表面的なとこでい…

ゴモラ

公式> 『シティ・オブ・ゴッド』見た人も多いだろう。クラシック級といってもいい、現代ブラジル映画の代表作の一つ。リオのファベーラ(貧民街)の少年ギャングたちの抗争を、実話ベースででも重いドキュメンタリーじゃなく、無茶苦茶いいリズムと映像で見…

ベルフラワー

公式> 主人公ウッドローとその親友エイデンを見ていて、また思い出した。『トイストーリー3』のとこでも書いた、大島弓子の古典漫画『F式蘭丸』。奥手な女性高生の想像上の親友の話。ていうか、もっとわかりやすい例もあるか!…『ドラえもん』(まっ、あれは…

サイタマノラッパー3 ロードサイドの逃亡者

公式> 第1作の『SRサイタマノラッパー』。この映画のすごいところは一カ所も格好いい絵がないというとこだったと思う。街の風景も、彼らのなりも、というか役者そのものも、はっきりいえばそこでやるラップも、すべてが痛々しいくらいひたすらに格好わるい。…

桐島、部活やめるってよ

公式> 予告編や映画のビジュアルを見ていて、クレジット的には主人公あつかいの前田(神木隆之介)が、「目」の役なのかと思っていた。息を殺して、いやな関心が自分に向かずに一日が終わる…それだけを祈る、教室内の弱者。そんな弱者でありつつも、意外に透…

127時間

公式> ダニー・ボイルの映画、よく考えると『トレインスポッティング』以降見ていなかったんだった。それでもイギリスの監督ではとにかくニュースが多い人なのはたしかで、スラムドッグもそうだし2012年はオリンピックの開会式演出で話題になっていましたね…

ドライヴ

公式> ストーリー:どこからかLAにやってきたワケあり風の寡黙な主人公。昼は映画のスタントドライバーと、スタント用に車を仕立てる修理工場で働き、夜になると犯罪者を逃がすやとわれドライバーになる。ドライブの腕はたしかで、工場の社長は彼の才能でレ…

近松物語

序盤映像> この映画を見ていると、堀北真希はやがて香川京子になるんじゃないかという予感がしてくる。何か感じが似てるんだよ。『山椒太夫』ではほとんど精霊のような妹を演じた香川だけど、この世話物では不義の恋に熱く突っ走る大店の女房になる。 ストー…

ホットスポット

予告編> デニス・ホッパーの代表作となると、結局最初の『イージー・ライダー』じゃないか、ということになってしまいそうだ。じっさいそれくらいしか見てないし。「えっブルーベルベット見てないんかおみゃあ」という問題じゃなくてね。出演作じゃなくて監…

アンチクライスト

公式> ラース・フォン・トリアー『奇跡の海』は、自然にかこまれた、けれど森のない風景だ、と書いたけれど、この映画は逆に森そのものが主人公のような映画だ。単なる「環境」じゃない、もっと能動的な意味のある「場所」だ。この映画での森のみかたは『カ…

カラフル

公式> ここで丹念に描かれている世界。母親がうざい、汚らしいものに見えて、許せなく、無性に辛くあたる中3男子。ま、たしかにそういう時期はあったよ。それこそ中3の時そうだった。だからこの感じは「あったね、たしかに」の世界ではある。今見てどっぷり…

ヤング≒アダルト

公式> コメディのつもりで見始めた。つくりはたしかにそうだ。要所にくすっというシーンがあるし、編集のリズムも音楽の入れ方もアッパーな演出だ。でもだな。いや、このヒリヒリ感はなんだ。これコメディじゃない…笑ってられないでしょう。ていうか泣ける。…

ナッシュビル

予告編> ロバート・アルトマン1975年の作品。アルトマンといえば群像劇というくらいだけど、24人の主要キャラクターが出てくるこの作品は、そうとう群像劇指数高めだ。だれかが突出するでもなく、脇役すぎて忘れられる人もなく、エンディングまで並走する。…

ようこそアムステルダム国立美術館へ

予告編>映画館の紹介P> アムステルダム国立美術館の改修計画をおうドキュメンタリー。国際コンペで勝ったスペインの建築家チームによる設計がかたまって、いよいよ解体工事がはじまってから映画ははじまる。ところがここからが長い。とにかくいろんなトラブ…

おとなのけんか

公式> これは面白い! シンプルに面白く、たいていの大人にはおすすめだろう。4人の大人が出てくるこのドラマ、あまりにも全員が突き放された視線で描かれているので、見ている方も誰かに自分を投影してひりひりと、みたいにさえなりようがない。新鮮な秋刀…

悪い奴ほどよく眠る

予告編> 黒澤明1960年の作品。全盛期なんていうとあれだけど、毎年のようにクラシックになるような作品を連発していたころだ。黒澤が東宝だけの資金で撮るんじゃなく、黒澤プロダクションを設立して共同制作する体勢になった第1作でもある。物語は、復讐に燃…

ピアニストを撃て

予告編> 1960年の作品。前年の『大人は判かってくれない』でデビューしたトリュフォーの2作目だ。『勝手にしやがれ』と同年の公開。もちろん年代なりにクラシックな雰囲気の画面。普通に楽しんだ。でもあまりコメントがでないなあ。アクションであり、悲しい…

トスカーナの贋作

劇場の紹介ページ>予告編> アッバロ・キアロスタミ、2010年の作品。この映画、ふたりの俳優を中心にした会話劇だけど、ひとことでいうと、ぱっと見そんなに面白い話じゃない。そもそもドラマを楽しむ映画じゃないからだ。 ストーリーはほとんどない。イギリ…

奇跡の海

参考(imdb)> 予告編> チャプターイメージ> 風景の映画だなあこれ。風土の映画だ。この物語は半分くらいスコットランド北西端の風土でできてているみたいだ。草原は荒涼としていなければいけないし、海は寒そうでいつも冷たい風が吹き付けているべきだし、教…

『パンチドランクラブ』

予告編> ここでのホフマンは主人公バリー・イーガン(アダム・サンドラー)をゆすって小金をゲットするマットレス販売店長ディーン。出番は少ないんだけどこの役はいい!絵に描いたような小悪党で、愛人にテレフォンセックスオペレータをさせて個人情報を聞…

『25時』

予告編> ここでのホフマンは主人公のドラッグディーラー、モンティ(エドワード・ノートン)の幼馴染みジェイコブ役。まじめでお固い上流ユダヤ系の高校教師だ。セクシーな女生徒に内心興味しんしんだけど、育った道徳観もあるし手をだしたら免職どころか犯…