野良猫ロック 女番長/野良猫ロック ワイルドジャンボ


<予告編>
日活のサイケ&ポップカルチャー&無軌道青春モノ。どうみてもかわいい梶芽衣子、范 文雀、それに一人だけ人種がちがうような体つきの藤竜也。当時っぽいファッションとかバンドのライブシーンとか、『女番長』では大根っぷりがまぶしい和田アキ子の存在具合とか、最初期型のジムニーLJ10とかダイハツフェローバギーの豪快な階段降りとか、けっこう楽しめる。
なにより1970年頃の東京の風景がびしびし写っていてぼくにはむしろそっちが楽しい。『女番長』は新宿。西新宿が高層ビルエリアになる前、淀橋浄水場が廃止されてすぐくらい。びっくりするくらい荒涼としていて、「東京の中心」感はまったくない。完全な辺境だ。東新宿の盛り場もこういうつながりで映されると荒野の町にある飲屋街みたいに見えてくる。空き地や廃墟同然のビル。サウスブロンクスみたいな街路。あふれる戦後感をたんのうしよう。
『ワイルドジャンボ』(しかしこのタイトル……!)は藤田敏八監督なのでだいぶ「映画」っぽい仕上がりで、前半は東京湾岸エリアでのロケのようだ。勝鬨橋もちらっと写るし、メインはどうだろう、多分13号埋め立て地じゃないだろうか。つまり今のお台場だ。造成されて、土砂運搬用の道路だけがあり、荒野の中に現場建物らしい小屋がある。チープでどこか非現実的なこの映画にはぴったりだ。