闇の列車、光の旅


<予告編>
列車の屋根に無賃乗車して貧しい人々が旅をする。『天国の日々』もそうだった。旅が帰る場所のあるものだとすると、これは旅じゃないかもしれない。違う世界に脱出するために彼らは屋根に乗る。『天国の日々』の舞台は90年前。アメリカでは歴史上の風物だろう。メキシコを縦断する彼らは2000年以降、現在だ。
この話のかすかな救いは、暖かく緑豊かな土地を列車が行くことだ。凍える寒さも、地獄のように照りつける日光もない。それでも警備隊に降ろされたり、疲れ切って転落する人もいる。
とはいってもこの映画、旅の映画以上に、「第三世界少年ギャングもの」だった。ほぼ『シティ・オブ・ゴッド』の世界だ。『ゴモラ』にも共通してる。
メンバーとしての子供のリクルート、イニシエーションとしての暴力、そしてメンバーシップをえた子供が急に残酷になる感じ。アフリカ少年兵ものにあるみたいに、子供の攻撃性は、武器を持たされたら、それで十分に人を殺せるくらいの残酷さを持ちあわせているのだ。