クボ 二本の弦の秘密 Kubo



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ストーリー:無双の武士だった父を失って母と2人岩場で暮らすクボ。彼は折り紙人形に命を吹き込むことができ、その技を使って街角で物語を聞かせて生活の足しにしていた。ある日、不吉な女妖魔に襲われたクボは強い霊力を持っていた母の力で違う世界に飛ばされる。その世界では母性あふれる猿と、奇妙に愛嬌のあるカブトムシ男と3人で霊力をもたらす宝を探して旅をする....

この作品は、なんというかあり方的に、けなす人が少ない感じの映画だ。ストップモーションアニメの製作スタジオ、スタジオライカの作品(『コララインとボタンの魔女』見た)。ファンタジックで壮麗な画面をCGじゃなく実物で撮り、とにかく超絶的に手がかかっていて、しかも作り手たちはじつに誠実に舞台になる日本の文化をリサーチしてキッチュにならないように作品に落としこむ。『犬が島』とおなじように作り手たちは日本の風景とクロサワへのリスペクトを口にする。
お話はシンプルで、主人公の少年が、父と母を思わせる道連れと冒険の旅をへて、困難や喪失を乗り越えて成長するわけだ。声をあてる猿のシャーリーズ・セロンもカブトムシのマシュー・マコノヒーもさすがビッグネームというか、軽妙さとヒロイックさの配分がとてもいいキャラクターになっている。
しかし子供向けファンタジーかと思ったお話はメタ的な構造になって、不思議な現実とのシームレスなつながりで終わっていく。ここの出口の作り方は面白い。ファンタジーなら観客を夢の世界で遊ばせるために黒子の姿も見せないという矜持だってあるわけだし.....自分の趣味から言えば『犬が島』の表現のほうがずっと好きだけど、今の映画界にとってもこのスタジオの存在は大事なんだろうなと思う。