ロリータ


<予告編>
ストーリー: アメリカの大学で文学を教えるためにやってきたフランス人作家ハンバートは、下宿先の未亡人にがっつり惚れられる。でもかれが一目見て夢中になったのはその家の娘、 ドロレス・ヘイズ(愛称ロリータ)だった…
キューブリックの古典温故知新。『現金に体を張れ』の数年後だ。まずはロリータがやたらと髪が盛り上がったたんなる女子校生なところで既にインモラルな妖しさはない。むしろ主人公に惚れる母がエキセントリックである。それもあって、ところどころよくある艶笑コメディ風の演出になっている。エロ要素の隠ぺいはもちろん当時の表現コードに合わせたから。脚本は原作者ナボコフだけど監督キューブリックが時間を切り詰め書き直したという。原作以上にジョーカー的な、というよりすべての糸を引いていたみたいなライターの男が奇妙に大きい存在感だ。演じているピーター セラーズ(ある世代以上には『ピンク パンサー』でおなじみだ)はまだ若いけれど、すでにつかみ所のない怪しさを見せている。 2年後にキューブリック出世作博士の異常な愛情』の一人二役で独特の芸と存在感を発揮することになる。
ちなみにこのお話はロードムービー要素も結構ある。少女と父的男のロードムービーはベンダースの『都会のアリス』がフォローしただろうし、隠すしかない愛と旅と車+モーテル の絵面は最近だと女性どうしの旅『キャロル』で再現していたね。