フォックスキャッチャー



<予告編>
ストーリー: デイヴ・シュルツとマーク・シュルツは1984LAオリンピックのレスリングで兄弟そろって金メダルを獲得した。でもアマレス選手のその後はきびしい。つぎのソウル準備に困っていたマークにいいオファーが来る。アマレスに情熱を持つ富豪、デュポンがチームを立ち上げるのだ。場所は田園風景が美しいペンシルベニアフォックスキャッチャー
とにかく静謐な映画で、画面のトーンだってそうだ。アメリカだとそれなりに知られてる事件なんだろうか? オリンピックメダリストが大富豪に殺される… ただアマチュアレスリングは、どう考えてもアメリカじゃマイナー競技。日本だって吉田沙保里はともかく男性の金メダリストの名前って思い出せる?まして、アメリカはLA大会では80人以上金メダリストがいたのだ。事件の細かいところまで覚えている人はわずかかもしれない。
そんなこんなで映画では登場人物の関係も事実を脚色して、時系列もより凝縮してドラマを成立させている。だから葛藤を呼ぶある人とある人の出会いは実際には起きていなかったり、微妙な味わいをもたらすある人とある人の関係は、実際には別の人間とのそれだったりする。モデルになったマークからするとBL風味さえかもし出す映画の関係性はだいぶ違うぜ、と言いたくなるだろう。実際、チームにいたブルガリアの選手がはるかにデュポンと深い関係になったのだ。
カポーティ』もなんとも寒々とした映画だったけれど、本作もそんな感じはある。レスリングというスポーツを題材にしているのに、汗だく感もなく、温度が低いのだ。監督独特の、冬の林みたいな品のある寒々しさだ。
作品はおもにペンシルバニアで撮影している。たとえばこんなお屋敷街、というか広大な屋敷が散在している高原だ。デュポンほどじゃないけれど、どの家もゆうに1ha以上ある。うーん….