パプリカ  監督 今敏


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同じ時期に見た、青春ノスタルヂアモノの『時をかける少女』はちょっと入り込めなかったけれど、こちらはずっと年を食った世界であり、設定であり、つまりおっさん向けである。筒井康隆お好みの映画の引用と夢の融合。引用される映画はすべて遠い昔の「黄金期」のものだ。ストーリーは終盤がちょっと残念。必要以上に話をでかくしすぎたあげくに、もののけ姫千と千尋+ちょいアキラ化し(身のつまっていない巨人イメージ・吸い込む人)尻すぼみ感あふれるエンディングを迎える。
絵については、特に「夢」シーンのぐにゃぐにゃしたメタモルフォーゼ的なイメージの部分は、見ごたえ充分。 ただセルアニメ的な線画表現より、もう少しエッジがあいまいな画法にできたら、もっとシュールになったかも。あと今敏の人物デフォルメはちょっと苦手だ。大友克洋くささもちょっとあり、クラシックなデフォルメもあり・・・『東京ゴッドファーザーズ』もそこが苦手だった。でも何層もの夢とリアルの世界を行ったり来たりするあたりはかなり面白い。
ちなみに音楽の平沢進(元P-Model)は監督がファンだそうだ。超余談だけど平沢のtwitterつぶやきはかなりヘンで面白いです。

2010.9.2追記。 今敏監督が急逝されましたね。次作『夢見る機械』製作途中だったそうで、本当に無念だったろうと思います。ブログの記事には、アイディアやビジョンが自分の頭の中にしかない部分が多くて、自分亡き後どうやって続けてもらえればいいのか・・・というようなことが書いてありました。それでも完成すればビジョンの一端はわれわれ観客もまた見ることができる。今はその日を待ちたいと思います。ご冥福をお祈りします。