未来のミライ



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細田監督のキャラクターデザインは、『時をかける少女』〜『おおかみこどもの雨と雪』くらいは貞本義行だった。最近は細田監督自身みたい。でもあまり違って感じないね。較べてみていないせいかもしれないけれど… で、このキャラクターデザインががらりと変わった作品も見ていたいな、というのが感想です。
なんていうんだろう、今の彼の作品の微妙なデフォルメ具合。リアルじゃないけれど、じつに破綻がないデフォルメだ。女の子も萌え絵とかじゃなく日本人ぽいし、年をとった人もきちんと(そしてけっして汚くなく)描いている。本作ではところどころに漫画漫画した表情をいれて息抜きにしている。実写と違和感なく、それでいてアニメならではの視覚的快感もあるバランスがかれの持ち味なんだ、といわれればそうだ。背景は正確で省略のない写実的なもの。谷尻誠氏デザインの住宅も、フルCGの東京駅も魅力的だ。
でもなんというのかな、このデフォルメ具合がぼくにはどことなく居心地わるいのだ。細田監督はアニメ独特の魅力は、日常動作をあえて再現するところだといっていた。実写でやれば面白くもなんともないところを絵で見せられたときの快感。それをやるには必要以上のデフォルメはじゃまなのかもしれない。だけど人物はきれい目に、スタイルも非現実的によく、そこはある種の日本漫画の伝統にあわせてチューンしてあるわけだ。名声とともにビッグプロジェクト化していく彼の作品で、あえて文法からはずれたキャラクターとかはむずかしいのかもしれない。でもなんだろうなあ、こぎれいじゃない絵で描いたかれの世界も一度見てみたいのです。
■画像は予告編から引用