ベクシル 監督 曽利文彦


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絵はフルCGにアニメ的輪郭をつけて従来のアニメファンになじみやすくしたという『Appleseed』の手法の洗練で、キャラ造形が弱くて(デフォルメに今ひとつクセがなくて)ゲーム画面的になっている部分と、メカや背景があまりにCGぽくていまひとつスリルとありがたみに欠けるのも共通だ(まあそれがウリなんだから好みの問題だけど)。
でも一番の弱みはいったいどのあたりの観客を想定しているのかわからないところだ。 ぴったりくるのはちょっとませた中学生だろう。というより失礼な言い方だけど、まさにませた中学生が考えたような設定なのだ。「子どもが一生懸命大人っぽい深刻な世界観を考えた」感が全面にあふれている。「電波鎖国」はまあいいとして、国民電脳化とか国内砂漠化とか、悪役キャラの軽さとか、市民抵抗組織の住民組織っぽさとか、ありがち過去の因縁とか、正直どうよ。『Appleseed』の時と同じだ。比べるのもアレだけど、より幼い子どもがターゲットに入っている『カーズ』のほうが、逆にずっと大人が作っている感じがする。あとハイパーモダンとアジア的混沌を対比させるの、そろそろやめようよ。