ブラッド・ダイヤモンド



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ずいぶん前にみたので正直、細部を覚えていない。ひとついえることは、すごくきちんと作られた映画だということだ。
なかなか手をだしづらかったコンフリクト・ダイヤモンド(紛争地で、不正なプロセスで採掘されたダイヤ)というテーマを、きちんとリサーチして、必要以上に甘い話にせず、とはいえ起承転結のはっきりしたわかりやすいストーリーのなかに落とし込んで、娯楽作品としてもじゅうぶん楽しめるものに作り上げている。

とにかく、ユダヤの力が強いハリウッドで、おなじくユダヤネットワークがヘゲモニーを握っているといわれるダイヤモンド業界の暗部をあばく映画を、しかもエンターティメント大作として実現できたというあたりがね。(ここの解説が秀逸) 最近は知らないけれど、映画館の予告編とCMのあたりで、かならず「DeBeers(デビアス)」のCMが流れたもの。 今ってどうなの?『給料の三ヶ月分』。 ・・・聞いたところではメジャーなダイヤモンド業界では、キンバリープロセスと呼ばれる、ダイヤモンド原石の国際認証制度を取り入れて、この映画に出てくるようなダーティーなダイヤとは一線を画しているという立場をとったので、表立っては反感を見せなかったという。

監督のエドワード・ズウィックはいわずと知れた『ラスト・サムライ』の監督。ニポン人からすると微妙すぎる、というかベタすぎる勘違いもあったりしてコメントしづらい部分もある映画だったけれど、主演のトム・クルーズとケン・ワタナベやヒロユキ・サナ〜ダを同格に格好よく撮っていたあたりは(それまでのハリウッドでは、欧米の観客が感情移入できるトムと、彼の冒険の舞台である異国の冴えない現地人たちという撮り方をしていた)、いわば良識派ともいえる。
この作品でもその立場はひきつがれる。はなればなれになって民兵組織に強制的に加入させられた息子を追う、ジャイモン・フンスー扮する現地の男は主役ディカプリオとまったく同格の男として、いわゆるバディムービー(相棒モノ)を構成する。DVDのコメンタリーを聞いていると、ロケ地を探したり、リアルな戦闘シーンを実現したりと、なんというか「実現力」のある監督のような気がする。プロデューサー的能力とでもいうんだろうか。というかプロデューサーが強力ってこと?

さて、基本的に満足度が高い映画なんだけど、主演ディカプリオが微妙。良心的な俳優でしられる彼だから、この映画の意義にも賛同したんだろう。ローデシアジンバブエ)出身の白人役になりきるために訛りもずいぶん練習したらしい。くちぐせの「 Yeah,Yeah 」なんてけっこう耳に残る。違和感っていうほどの違和感はない。でもなあ・・・この役だったらラッセル・クロウのほうがハマるんじゃないの。 ダーティーな過去をもっていつつ、そこから足を洗いたいと心を入れ替えたタフガイの役には、やっぱりディカプリオの雰囲気はぼっちゃんすぎる。
ディカプリオはあと10年か15年、彼が望む役柄に合うまで時間が必要かもしれないね。なんせガタイはよくなってきても童顔だからなあ。

結論。『善兵衛、ディカプリオの熟成(=さらなるおっさん化)を待つ!』