<公式>
ストーリー:ソニー(ブラッド・ピット)はフリーの助っ人ドライバーで暮らしていた。弱小F1チームの代表で旧友のルーべン(ハピエル・バルデム)に呼ばれてチームに参加する。若手有望ドライバーのジョシュアや開発担当のケイトとぶつかりながら、でも段々と信頼を獲得していく。しかしレースでは.....
監督ジョゼフ・コシンスキー、『トップガン・マーヴェリック』チームがFIAと共同制作したストレートな娯楽作。とにかく映像と音響がウリだからIMAXに見に行った。映像は十分以上満足だし、ブラッド・ピットのありがたみもよくわかる。顔のシワや年輪は隠していないけど、骨格バランスからくる全身象が圧倒的に絵になる感じは揺るがない。あと彼の最大の武器「アメリカ的なかっこいいリラックス感」が映画全体を落ち着かせている。
で、感想としてはそうはいってもストーリーの捻りも多少は欲しいよな、というところだ。ぼくはF1マニアじゃない、ほどほどの知識で見ている観客だから、映像や描写に詰め込んでいる現代F1のディティールに十分うなったりできていないだろうと思う。そんな目で見てると、20年以上ブランクがあっていきなり最新F1のハイテクやレース運営についていけるのか、とかそもそも弱小チームが1シーズンの間にトップグループまでいけるのか、とかファンタジー部分で入り込みきれなくなりそうだ。あとラブストーリー展開もね。ここまで全てにおっさんに寄り添いすぎてると、いくらブラピが格好いいと言っても非おっさん(かつ非ブラピファン)観客は置いてきぼりにならないのか。
(c)2024 Apple Studios
実話ベースの『フォードVSフェラーリ』『フェラーリ』『グランツーリスモ』『RUSH』のインパクトや苦味や設定の意外さがないのは仕方ない。あまりにも教科書通りっぽいクライマックス手前で落とす展開といい、ロマンスの置き場といい。やっぱり脚本より撮影の映画なんだよね。実際のレースシーンや会場映像を十分に使えて(『栄光のル・マン』では実際に出場までして撮っていた)、その中にキャストも混じってるんだから、絵のゴージャスさの快感に浸ればいいのだ。実際浸りましたとも。
🔹ツイスターズ
<公式>
ストーリー:ニューヨークの自然災害予測会社で働くケイト(ケイシー・エドガー・ジョーンズ)は、学生時代の竜巻研究のチームメイト、ハビからのスカウトで、竜巻対策のため故郷オクラホマへ戻ることに。そこにはストームチェイサー兼ユーチューバーのタイラー(グレン・パウエル)もいた。ケイトには学生時代のトラウマもあって....
監督はリー・アイザック・チョン(『ミナリ』)、コシンスキーは原案扱いだ。1996年『ツイスター』の続編というかリブートで、その辺りのリサイクル感も『トップガン』に通じるところがある。ヒロインが中心になって問題解決に爆進するストーリーは最近ぽい設定にも見えるけれど、前作でも研究者はヘレン・ハントが演じていたから同じなのだ。
こちらもシンプルそのものの災害ものエンタメで、かつファンタジックな部分はもちろんあるんだろうけれど、主人公が1人でファンタジーを背負っているわけでもなくバランスがいい。スクリューボールコメディー的な、ブラッド・ピットがより土臭くなったみたいなパウエルがにやにやしながらリラックスした感じで近づいてきて、最初は反感持っていたのに、そのうち...という王道展開。そこも何故かいやらしくない。
ところで題材の竜巻。アメリカでは年間1000件くらいは発生していて、しかも若干増えている気配もある。やっぱあれか、温暖化か。年間数十人の人的被害があって、2011年は500人以上もあった。日本の台風被害もそうとうだけど、いかんせん発生数が多い。
竜巻の強度はFスケールとか改良版のEFスケールで6段階評価している。映画でも「EF5だ!」とか言ってた。要するに最強ということ。
パウエル演じるストーム(トーネード)チェイサーの実際の映像はこんな感じだ。映画ではドリルで地上に車をアンカリングして飛ばされないようにしていた。もっとタンク風に重く、下から風が入らないようにした特別マシンもあるみたいだ。