スパイダーマン:スパイダーバース

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<公式>

ぼくが住んでいる街には1つだけシネコンがあった。でもそのシネコンが入っているショッピングセンターが大改装されることになって、とうとう閉鎖になってしまった。たしかにここ何年か、センター全体に場末感が半端なく、来客のジャージ着用率(年代性別問わず)が妙に高い気がしていたし(つまり全体に客の期待値が低いというかね)、改装はしょうがない。

シネコンが復活するのか。それは誰にも分からない。近場に、ちょっと車を転がせば行ける映画館があるのって、それなりによかった。ベタなブロックバスターは結構ここに見に行っていたし、前は大きいTSUTAYAもあって、映画を散々借りていた。そんな、ぼくのささやかな映画生活の地元代表みたいなところだったのだ。

で、休みの日の夜、閉館前に本作を見に行った。この手の映画を見に行くのにぴったりなのだ。もちろん館内は空いていて、ファミリーというよりややオタ感がある男性客がほとんどだった気がする。予告編は心躍る作品がざんねんながら1つもない。ディズニークラシックの実写+CGリメイクや、変則アメコミヒーローや、おなじスパイダーマンの実写版新作。正直にいってかなりヒマでも見に行かないタイプの作品だ。

本作だって、どうみてもアカデミー賞効果だ。なにかアニメーションのあたらしい地平を開いたらしいというから、マーベル的なものに弱いおいらも見て見るだ、と山を越えて映画館に向かったのだ。

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で、どうだったのかといえば.......うん、視覚的な快感はじゅうぶんあった。スーパーマンみたいな飛行できるヒーローと別の空中移動のダイナミズム。都市にいることが不可欠なヒーローは、だから高層ビルだらけの風景とかならずセットになる。パルクールの面白さと同質で、運動のなかで重力を受け止める脚の存在感がすごくあるんだよね。あれのおかげで動きに説得力が出るし、肉体性がある(だってスーパーマンの飛行って肉体性もなにもないでしょう?)。

この動きの描写、実写版の時点で、リアルな動きのCGへの落とし込みは十分進化していたんだし、背景の都市景観だってCGだったわけで、アニメ版は表現的にはそのバリエーションみたいなものだ。両者の境界ってどこなんだろうと思うよね。

youtu.be

そんな動きを邪魔しない程度のシンプルなキャラクターデザインもわりと好感度高い。ディズニー/ピクサーの、最近の3D+リアルなテクスチャー+アニメ顔より自然に見られる。画面にコミックのスクリーントーン的な絵を入れるところなんて、たぶんしばらく各国で真似されるだろう。

最大のウリである、違った画風のキャラクターが1画面に混在する絵づくり、技術的にはともかく、絵そのものは日本のアニメでもあった表現だよね。シリアスキャラが急にギャグ漫画調になったりとかは。だからなんというか、普通に飲込んだ感はあった。

世界観は、見込んでる客じゃないから特にぴんとはこなかった。オリジナル物語の設定をわりと丁寧に再現してるのは、後でいろいろ見返して知った。思ったのは、1つはブタのカートゥーン調スパイダー・ハム。ギャグ的には全然おもしろくなかったが、ああいう凶悪なマスコット的キャラって、『ガーディアンズオブギャラクシー』のロケット(アライグマ)にも似ていて、なんか定番なんだろうか。

あと、スパイダーマンだから少年がヒーローに成長する物語なわけだけど、ものすごーく父と息子物語になっていたのが、「ああ、アメリカのストーリーって、ほんとに父と息子モノだよな....」と思わせるところはあった。

■画像は予告編からの引用

 

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