ランナウェイズ



<予告編><Full Movie>
ガールズバンドのはしりランナウェイズ 。1970年代後半に日本で巨大なブームとなり、それに味をしめた日本の興行主たちによって、定期的に不思議な海外ガールズユニットが投入されることになった。Shampoo、Taboo、もっと前だとシンディ・ローパーも最初のころはそんな扱いだった。てかそのくらいしか思いつかないや。 そんなバンドはライブよりTVや雑誌のメディア出演がふえる。だんだんうんざりしてきた彼女たちは、TVでもやらかすようになる。そして伝説の誕生だ。tabooのナマ本番ドタキャン事件。シンディ・ローパーの口パクあからさま事件。
ランナウェイズ はたぶんそんな彼女たちのパイオニアだ。1970年代。そのころだと来日するミュージシャンは今よりだいぶエキゾチックな体験をしただろう。今みたいに外国人がふつうに遊べる場所がそこら中にあるわけじゃない。しかも熱狂的なファンたち(女の子が多いのだ)がホテルに押し寄せる。そしてTVではなぜかランジェリー姿で熱唱しなくてはいけないのだ。
映画を見るとそもそもランナウェイズ はプロデューサーの企画ものだったことが分かる。まあね。だってそれまでロクにガールズバンドなんてなかったんだから。少女たちが自然発生的にバンドを組もうとはなかなかならない。女の子じゃなくロッカーになりたいジョーン・ジェットをリーダーに、それぞれにロックをやっていた子たちを集めて、 ボーカルには、ふらふらしていた、歌もろくに歌えない、だけどやけにセクシーなシェリー・カーリーを持ってきてバンドはスタートする。むさい男の客にけんかを売るようなスタンスで、ライブでは猛烈な罵声をあびる。あやしい西海岸系プロデューサー役は「なんかタランティーノみたいだな」と思ってたら、マイケル・シャノンだった。『ノクターナルアニマルズ』『シェイプオブウォーター』でおなじみの顔力系役者だ。


「男のうざい欲望にけんかを売る」ノリで始めたはずが気がつくと東洋の国でランジェリーを着て歌っている。おまけにプロモーション用だといって、シェリーは日本のカメラマン(てか紀信ね)に限界ギリギリショットを撮られてしまう。現代音楽でもないのにバンド内で不協和音が鳴り響きはじめ、けっきょくシェリーはボロボロになって脱退。この映像シェリー脱退後のバンドのライブ。ジョーンが1人でボーカルを取っている。
何年かたって、ちょろっとソロ活動や女優をやったけれどシェリーはショービジネスからは降りていた。ある日ラジオから聞きなれた声が聞こえる。ジョーン・ジェットが新曲プロモーションで喋っていたのだ。その新曲『I love rock’n roll』はやがてロックのクラシックになり、ジョーン・ジェットはだれも文句のつけようがないロックンローラーになる。