ヴィジット


<予告編>
ストーリー: ヴェッカとタイラーの姉弟はママの父母の家へはじめて遊びに行くことにする。ママは喧嘩して家をでてから1度ももどっていなかった。何年か前にパパも家を出て行ってしまい、そのトラウマのせいか、ヴェッカは自分の容姿が好きになれず鏡が見られないし、タイラーはなぜか潔癖性だ。田舎のおおきな家にすむおじいちゃんとおばあちゃん。無骨なおじいちゃんときれいなおばあちゃん、でも夜になるとなんだか様子がおかしくなりだして……


シャマランね。響きが良く似た『ヴィレッジ』は好きだったな。小説『蠅の王』をおもわせるオチがね。あのオチ、山歩きなんかしてるとときどき似た感覚に襲われることがあるのだ。都市文明から隔絶された大自然のなかを1人あるくオレ….的気分でいると、じつは森一つへだててふつうに集落があったり、車道であがってきた重機がふつうに止まっていてがっかりしたり。
さて、本作は基本的にはホラー、スリラーである。怖さの対象は子供たちがはじめてあうおじいちゃん、おばあちゃんだ。ちょろちょろと「わりと変わったひとなのかな?」的ふるまいが出始め、「無理して過剰なおもてなし….?」「いや、やっぱりどう考えても変なんじゃないか!?」と子供たちの疑心暗鬼はたかまっていく。でも2人はここにいるしかない。子供たちの武器はITリテラシーの高さ。ノートPCを持込み、ママとはスカイプで連絡。映画撮影が趣味のおねえちゃんは隠せるくらいのちいさなカメラも持っている。ところが田舎のそぼくな老人たちも意外とそのあたりがわかっているのだ! 事故をよそおってPCのカメラを機能不全におとしいれたり、隠しカメラをあっさり発見したり。
しかもおじいちゃんは老人とはいえ、奇妙な暴力性さえ帯びている。こうなると子供たちは無力ながらに自分の身を守るしかない。そんなわけで本作はいわゆる「夏休みの冒険譚」的成長要素がはいった、ジュブナイルの味わいがある。ラストのおまけシーンをみれば一目瞭然ですよね。基本的には怖くありつつ、過剰なホラー感による笑いが多分にあって、重層的なキャラクター設定とかそのあたりいっさいなく、不気味な人は純然たる他者であり(昔話の鬼とかとおなじでね)、気軽にみるべき小品なのだった。