インターステラー


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序盤、未来とは思えない絵面のなかに急に<インド空軍の無人機>という要素を入れて衰退気味の未来へ客を引き込むところ。文明が危機におちいって、逆にどことなくなつかしいライフスタイルに戻らざるを得ない。そのなかにあたりまえのように未来的な要素が混じり込んでいる。この感じは漫画『ヨコハマ買い出し紀行』を思い出した。そのあとはあらゆる古典SF(スペースオペラ系じゃないほうね)を思い起こさせる景色やエピソードやガジェットが列をなすだろう。
父親が宇宙に行ってしまい、時間の流れが違う地球上の子供たちの世界とパラレルに進むバランス。ワープ航法や見知らぬ惑星の風景(とはいえアイスランド他でロケ)で世界を拡げ、父娘のエモーショナルなつながりでお話を収束させる。特徴的な顔の少女は何十年かをへて名作『ツリーオブライフ』のお母さんになる。子供たちの世界は見渡すかぎりにひろがったコーンの畑だ。監督は撮影用に借りた広大な農地にコーンを栽培して物語の舞台にした。撮影が終わってから、そのコーンは収穫されて「スタッフがおいしくいただきました」どころじゃなく、ちゃんと販売されて映画の収益にプラスになったという。コーン畑と父と。ここはやっぱり『フィールドオブドリームス』ですよね。
ところで、この時期だから多少ネタバレてもいいとおもうが、時空をさまよう主人公(マシュー・マコノヒー)が過去の時空にメッセージを送ろうとするシーンがある。その一つで宇宙を航行しているとき、NASA研究者(アン・ハサウェイ)がふと彼の亡霊めいたものを見るシーンがあるのだ。となりには実在の彼が乗っている。この感じ、どこかで見たか読んだ気がしてしょうがない。かつての小松左京だろうか。なんだったんだろう…….