青いパパイヤの香り  監督トラン・アン・ユン


<参考> 
監督、トラン・アン・ユンの独特なところは、触覚的なセンスの映像だろう。エロスの表現も、肌や髪にクローズアップで寄って、形態的な(=視覚的な)エロスより、触れたときの、あるいは嗅いだときのエロスを思い出させるような絵をつくる。
ふんだんに画面に映る植物は、ベトナムの暖かく湿った空気のなかで、たっぷりと水分を含んだような張りをみせる。でもフランスでセットを組んで全部撮ったそうだ。そんな緑が開口部の向こうに配置される、ベトナム富裕層の伝統的な屋敷が舞台。とても気持が良さそうな空間に見える。ほとんどのストーリーがその屋敷ともうひとつの屋敷の中で展開するので、その家自体も主人公がまとうひとつのキャラクターに見える。ヒロインを演じる二人。少女時代のほうが圧倒的に可愛く感じる。ロリか?いや女優の力量だ!