日本映画クラシック

噂の女

予告編> 舞台は島原。主人公は芸妓や娼婦じゃない。お茶屋の女主人とその娘だ。毎晩のお座敷の予約を受けて、芸妓を手配し、料理や酒の差配をする。話は3作のなかで一番軽い。母(田中絹代)のもとに東京で失恋して自殺未遂したという娘(久我美子)が帰ってくる…

赤線地帯

んん?これ..> これはまたなかなかに・・巨匠のリアリズムといわれるこの作品だけど、娼婦たちも、遊郭も、そのまわりの路地もきれい目には撮らない。ついでにいうと、娼婦の平均年齢も高い。成人した息子がいたり、病身の旦那と子どもをやしなっていたりと…

祇園囃子

冒頭> 一番おもての世界、というか普通にメジャーな祇園。『祇園囃子』は3本の中でははなやかだし、新人の舞妓(若尾文子)も姐さん芸者(木暮実千代)もきれいに撮られている。新人舞妓はちゃんと芸事や所作のけいこをして、お披露目ではゴージャスな衣装を着て…

ミゾグチ、「この世界」もの3本

溝口監督の花街・遊郭もの3本。巨匠はとにかくこの世界を描いたものが多くて、ほかにも祇園を舞台にしたもの、いわゆるパンパンを描いたもの...いくつもある(未見だけど)。すくなくともこの3本、とくに『祇園囃子』『赤線地帯』は、とにかくシビアな現代劇、…

幕末太陽傳

<公式> 川島雄三の映画はいつもその時代の風景につれていってくれる。古い映画はもちろんそうなんだけど、小津や溝口ともどこか違うんだなぁ。シンボリックな風景より、もっと身近な空間の手触りみたいなところなんだろうか。この映画、もちろん名作中の名…

わが町

<日活の解説サイト> この映画、ぼくにとっては、辰巳柳太郎の顔相と、川島雄三が描く大阪下町の路地・長屋の空間をめでる一本だ。出だしの、一面の瓦屋根が泣ける。天王寺区の生国魂神社の裏手あたり、寺町のふんいきだ。映画のなかでも長い土塀がつづく、…

近松物語

序盤映像> この映画を見ていると、堀北真希はやがて香川京子になるんじゃないかという予感がしてくる。何か感じが似てるんだよ。『山椒太夫』ではほとんど精霊のような妹を演じた香川だけど、この世話物では不義の恋に熱く突っ走る大店の女房になる。 ストー…

悪い奴ほどよく眠る

予告編> 黒澤明1960年の作品。全盛期なんていうとあれだけど、毎年のようにクラシックになるような作品を連発していたころだ。黒澤が東宝だけの資金で撮るんじゃなく、黒澤プロダクションを設立して共同制作する体勢になった第1作でもある。物語は、復讐に燃…

黒い十人の女

予告編> 市川崑、1961年の作品。ビスタサイズの画面を、タイトルどおりにとっぷりと黒い暗部で塗込めたみたいな映画だ。でも雰囲気は意外に軽妙で、生活感ゼロのスタイリッシュムービーでもノワール的なダークな物語でもない。悪人になりきれないかわいい悪…

洲崎パラダイス赤信号

参考(いちおう)> これもぼくにとっては風景を楽しむ映画かもしれない。まあ古い映画ってそもそもかなりそういうものだけどね。もちろん話のテンポもいいし、ちょっと類型的だけど新珠三千代や轟夕起子、芦川いづみなどの女性キャラはなかなか魅力的だ。そ…

山椒大夫

溝口代表作のつづき。とりあえず有名どころから見ている感がアレですが。古い説話を翻案した森鴎外の小説が原作で、昔話らしいシンプルなキャラクター設定によるシンプルな物語だ。平安時代のある国の国守を父にもつ家族が主人公、父は領民を守るために義を…

雨月物語

参考> 名作温故知新月間、はじまる(ひっそりと)。1本目はあまりといえば名作。名作すぎていまさら何か付け加える世界でもないんだけど、まあ。 で、こういう映画を見ると「日本の風景」ってたしかに変わったんだなとしみじみ思う。宮川一夫撮影による名シ…

現金と美女と三悪人 ー熱泥地ー

参考(ただしストーリーがちょっと違うような・・・)> 珍品。市川崑のキャリアの最初期で、 彼の作品のなかではたぶん怪作あつかいになるんじゃないだろうか。シーンのつながりも悪い奇妙な映画だ。1950年新東宝製作。新東宝という会社は東宝からのスピンオ…

東京暮色

1957年の作品。1953年に『東京物語』を完成させ、すでにゆるぎない巨匠になっていた小津安二郎の白黒最後の作品だ。翌年にカラーの『彼岸花』を撮っている。この『東京暮色』、特に戦後の小津にしては異色の作品とみなされているようだ。評価が分かれる作品…

戒厳令

参考> 前回から随分あいてしまった。すみません。ぜんぜん新作を見ていないんです。今回も旧作も旧作、1973年の日本映画です。戦前の政治思想家、北一輝を描いた映画。 この映画、最大の特徴はアヴァンギャルドに近いそのスタイルにある。本当の実験映画は別…

椿三十郎 

<参考> 黒澤明、1962年の作品。 ストーリーの概略は、ある藩のお家騒動。 ある勢力の不正をただそうとする老城代と彼を支持する若侍のグループがいる。 不正をはたらくワルの勢力には3人のひとくせありそうな初老の侍と、部下の切れ者がいる。そこへ正体不…

蜘蛛巣城

参考(Wiki)シェイクスピアのマクベスをほぼ忠実に時代劇に翻案したこの物語、陽性でどことなく楽天的なものが多い黒沢の時代劇の中ではめずらしく、ダークな世界だ。霊や物の怪、裏切りと暗殺と物狂いの世界。 コミカルな演出(たとえば『隠し砦の三悪人』…

天国と地獄

wikipedia:天国と地獄_(映画)前半は子供が誘拐され、犯人がどう出てくるかわからないなかで、社内抗争で一世一代の勝負をかけようとしていた三船敏郎が苦悩する。身代金を払ってしまうと株を買い占めて取締役会を支配する彼のプランが崩壊するからだ。それは…

豚と軍艦

amazon:豚と軍艦 やっぱり日本人の顔は変わる。気のせいかもしれないが50年たつとやっぱり変わる。だって今、約50年前の、当時の長門裕之のような顔の若者はいない。下の世代ではあの手の顔はほぼ絶滅した。それからヒロイン吉村実子。四角い顔だ。ある角度…

秋日和

佐分利信主演シリーズ。 いうまでもなく、ヒロインの結婚をめぐって上世代のおっさんはじめみなさんが忙しく動き回るはなし。 何度見てもあきがこない奥深い味わいにはおどろかざるをえない。そして佐分利信。「彼岸花」とくらべて、こちらの佐分利はより無…

彼岸花

佐分利信主演シリーズの1本。 佐分利信のこの重量感。生身ながら大魔神のような重量感だ。この重量感こそ、今の日本のショウビジネス界にもっとも欠けているものだ。三船敏郎はもちろん、若山富三郎や、そして佐分利信のような、ずっしりとした存在感のある…

姿三四郎

さて第一回からものすごく古い。 黒澤明、1943年のデビュー作。序盤で、三四郎が脱ぎ捨てた下駄を中心に季節の移り変わりを表現する可愛いシーンがある。若い監督らしい、わかりやすいヒネりで好感が持てる。さてこのストーリー、古来からあった柔術から講道…